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こんにちは。血液内科スタッフKです。

今回はBlood Advancesに日本からの報告が掲載されていたのでご紹介します。同種造血幹細胞移植時のレテルモビルによるサイトメガロウイルス感染症予防についての後方視的研究です。

Differential clinical impact of letermovir prophylaxis according to graft sources: a KSGCT multicenter retrospective analysis

Toya T et al, Blood Adv 2024, doi: 10.1182/bloodadvances.2023010735

【要旨】

臨床的に重要なサイトメガロウイルス感染症（csCMVi）は、同種造血幹細胞移植（HSCT）後に頻繁に認められ、レテルモビルによる予防が一般に適応される。しかし、グラフトソースによるレテルモビル予防の臨床的利益については充分に解明されていない。

我々は後方視的にCMVが血清反応陽性だったHSCTレシピエント2194人を解析した（236人がレテルモビル予防を受け、1958人はCMVに対する予防を受けていなかった）。csCMViは、予防を受けていない患者と比較してレテルモビル予防を受けた患者で有意に少なかった（HSCT後100日で23.7% vs 58.7%。P<0.001）。同様の傾向が、骨髄（BM）、末梢血幹細胞（PBSC）、臍帯血（CB）移植を別々に解析しても認められた。BMレシピエントにおいて、HSCT後6カ月時点での非再発死亡（NRM）はレテルモビル予防群で有意に少なく（5.0% vs 14.9%、P=0.018）、この傾向はPBSCレシピエントでも認められた（14.7% vs 24.8%、P=0.062）。しかしHSCT後1年時点では有意差はなかった（BM：21.1% vs 30.4%、P=0.67；PBSCs：21.2% vs 30.4%、P=0.096）。これに対し、CBレシピエントでは臨床経過全体を通じてレテルモビル予防のあるなしに関わらずNRMは同等であり（6カ月：23.6% vs 24.3%、P=0.92；1年：29.3% vs 31.0%、P=0.77）、これは多変量解析で確認された。

結論として、レテルモビル予防がNRMとcsCMViに与えるインパクトは、グラフトソースにより別々に考慮する必要がある。

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同種造血幹細胞移植において、サイトメガロウイルス（CMV）の再活性化はしばしば問題となり、原疾患や抗がん剤で体力が落ちているところに副作用の多い抗ウイルス薬を投与しないといけなくなり、さらに臓器障害が進行して･･･という負のループは移植に関わった人なら必ず経験するのではないでしょうか。そんな中でレテルモビルは近年使用出来るようになったCMV予防薬で、今まではモニタリングしてウイルスが出てきたら治療という後手に回らざるを得ない戦略だったのが、先制的に予防が出来るようになりました。本研究は後方視的デザインですが、多数例でグラフトソース別のレテルモビル予防の有効性を検証しています。結果は上記の通りですが、ドナーによってCMV感染に対する警戒レベルは意識して変えていく必要があるかもしれないですね。

おまけ

鶏胸肉と白菜の煮込みです。余熱調理でしっとり仕上がりました！

【Blood Adv】移植グラフトソースによるレテルモビル予防の異なる臨床的インパクト