桂米團治の言いたい放談 -2ページ目

日本再生は『江戸』に学べ! '09/2/13

 昨年は慶応義塾創立百五十年だったとか。先日、式典の話を聞いてびっくり。なんと、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、盛大に行われたそうです。やはり福沢諭吉の功績はたいしたものですね。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言って、一万円札になった!
 それはさておき、感動したのは陛下のお言葉です。「世界の情勢をオランダ語を通して学んでいた人々が、困難な状況の中で重要な役割を果たしました。長い平和な鎖国時代に国民が文化を享受し、国民の識字率も高い状態にあったとは申せ、開国後の日本が短期間に発展した陰には、当時の志ある人々がいかばかり努力をしたかとの思いを深くするのであります」という件(くだり)がありました。
 すなわち、鎖国のお蔭(かげ)で日本は守られてきたのだと。その上で、明治の文人達(たち)の業績を讃(たた)えられたのです。お言葉から私は「外国と渡り合うには、自国の文化の継承がいかに大切か」ということを強く感じました。
 今、日本はある種、当時と同じ状況にあるのではないでしょうか。自給率を低下させられ、輸入に依存したり外国に生産拠点を移したりして、金融操作の影響をもろに受ける…。
 江戸時代は越後を除いて石油すらなかったのに、完全自給・完全リサイクルがなされていたのです。日本再生は「江戸」に学ぶことから!(落語家)

消費税率上げの本音は? '09/1/30

 一体、誰が「天下り」という言葉を使い出したのでしょう。天から下るということは、もとは天だったと認めているようなもんですからね。どうせなら、保身術に長(た)けた官僚が民間企業に入るのだから、「成上(なりあが)り」と呼んだほうが良いと思います。
 でも、うまく飼い慣らされた国民はその欺瞞(ぎまん)に気づかず、上から下される意味の「給付金」という用語にさえ、何の疑問も抱かぬようになっています。
 けど、今回はあまりにも露骨すぎましたよ、麻生ちゃん! わずか一万二千円の撒(ま)き餌で消費税率を上げると言うのですから、さすがの純朴な国民も反発します。ここはひとつ、本音で演説されてはどうですか。
 「今、アメリカはサブプライムローン問題に端を発した金融破綻(はたん)で瀕死(ひんし)の状態。それを救うべく私、麻生は頼まれました。えっ、大統領からかって? いえ、ヒラリーからです。オバマ人形を支えているのは、多くがクリントン政権の重鎮たち。その代表格のヒラリーが国務長官になって、ラブコールを送ってきたのです。かつて経済政策で日本を無視した彼女がひらりと身を寄せてきました。ここはもう、奮起せざるを得ません。社会保障に充てる名目で消費税率を上げ、そのカネで宗主国を救済しようと思います」とね。
 案外、このほうが国民の理解を得られるかもしれませんよ。「あ、そうか」と。(落語家)

日本再生は農業への回帰で '09/1/16

 汗水たらして稼いだおカネで米ドル債や金融派生商品を買い続けた日本。どうやら行き着くところまで来たようですね。今年、資本主義の終焉(しゅうえん)に気づく人も多いのでは? 早くそれに代わる政策を打ち出さないとね。
 ズバリ言いましょう。それは農業への回帰。日本再生の道はこれしかありません。不況時、人は家電製品がなくても生きてゆけますが、食料なしには生きてゆけません。突然おとずれる飢饉(ききん)に備える意味でも、自給率の上昇が急務。同時にそれは雇用の促進ともなるのです。
 長年にわたる減反政策で、日本には休耕田や耕作放棄地があちこちに存在しています。ここを開墾し、働き口を増やすのです。しかし、われわれ素人には野菜作りがやっと。稲作の土壌に蘇(よみがえ)らせるのは至難の業。そこで、国が農業法人を作り、運営をJAに委ねるのです。農協はノウハウを持っているし、実はリストラ組には田舎から都会に出てきた人が結構います。かなりの知恵があるはず。
 但(ただ)し、これを実現させるには農水省と厚労省の協力が欠かせません。「今は亡国の危機。実のある政策を施してこそ、国家公務員にも給料が払えるようになるのです」とお願いして協力を求めます。官僚主導のこの国を救うには、官僚にやりがいを与えることが肝要です。
 この政策、誰か実行してくれへんかいなぁ。(落語家)