ハイバッククリアで、これをやったら遠くへ飛ばすことができる! とYouTubeやSNSなどで伝えています。しかし、1つを実践したら遠くへ飛ばすことができるというのは短絡的過ぎます。
ハイバッククリアやスマッシュなど速いショットを打つ動作は、複合的であり各構成要因を理解して実践する必要があります。
今回は、スプリングキャンプで受講者に講義で指導した主な内容を示しますので、参加した4名の選手のハイバッククリアの動画をチェックしてみてください。動画をチェックすることで指導者はチェックポイントを理解し、選手は早くマスターできるようになるでしょう!
ハイバッククリアを「速く・遠く」へ飛ばすためには、ラケットを最速でスウィングすることで達成されます。そのためには①打つフォーム(打ち方) ②ハイバックのスウィングに関連する体の各部位の筋パワー ③運動連鎖を理解し練習・トレーニングする必要があります。
今ブログでは、①の打つフォーム(打ち方)と各部位の運動エネルギーの発生について解説します。
運動エネルギーとは:ラケットをスウィングするための動力源のことをいいます。
筋パワーとは:筋力×スピードで定義され、力強くて速い動作をいいます。バドミントン競技で必須の能力と言えるでしょう。
<ハイバッククリアの打ち方>~右利き選手をモデルにして表現します。
◆グリップ(ハンドルの握り方)
下の図は、ラケットのハンドルを真下から見たものです。親指を当てる位置によってバックハンドグリップ1と言ったり、バックハンドグリップ2と言ったりします。この違いを確認してください。ハイバッククリアは、バックハンドグリップ2でハンドルを握りましょう!
下図右のバックハンドグリップ2で握るとインパクトまでのストロークで、ラケットヘッドの回転角度が大きくなるためスウィングスピードが増します。グリップ2で打ちづらい場合は、最初の段階では、左のグリップ1で握って練習しましょう!
親指を立ててハンドルを握ることで、親指でハンドルを押す・捻る動作(前腕回外運動)ができます。押す・捻る動作によってスウィングスピードを増すことができます。
◆フットワーク
ホームポジション付近からのフットワーク(移動)は、サイドステップで行いましょう!
◆インパクトまでの利き腕の動かし方
リストを立ててラケットヘッドを体の前に置き、右肘を曲げて下げます。その状態を保持し、体の近くに沿って打つ方向とは逆方向に肘を動かします。どこまで肘を動かすかというと、これ以上肘を動かすことができないところまで引きます。その後、肘を切り返し打つ方向へスピーディーに押し出します。その際、肘をできるだけ高く上げる必要はありません。
インパクト直前に曲げていた肘を伸ばすことでスウィングスピードを増します。
打つ方向とは逆方向に肘を動かすことで、スウィング開始からインパクトまでのラケットヘッドの軌道(テイクバック動作)を長くすることができるため、ラケットを十分に加速することができます。
一方、肘を上げてテイクバック動作を開始するとラケットヘッドの軌道が短くなるため、スウィングスピードにマイナスの影響を及ぼします。
◆リストを立てて打つ(リストスタンド、手関節の外転、撓屈ともいう)
リストを立てて打つことで、慣性モーメントが小さくなりスウィングスピードが速くなります。また、橈側手根伸筋の筋繊維の動員が増します(筋力が向上する)。橈側手根伸筋は、前腕回外運動の主働筋であり、回外筋と上腕二頭筋と連動して、ラケットヘッドの回転(前腕回外運動)を速くします。
ハイバッククリアやハイバックスマッシュは、スウィング動作に前腕回外運動が加わったストロークです。リストを立てて打つことで、スウィングと前腕回外運動の両方のスピードが向上し、速いショットを打つことに大きく寄与します。
主働筋とは:その動作の中心となって働く筋肉を言います。
関連記事:【技術理論】リストスタンド2つのメリット 2023年9月4日ブログ公開記事をご覧ください。
◆ハイバッククリアの打点(スマッシュを含む)
筋(筋肉)は、伸び過ぎたり、縮み過ぎたりすると力の発揮が弱くなります。腕をスウィングする主働筋は、大胸筋と広背筋です。打点を極力高くして打とうとすると、大胸筋と広背筋を伸ばし過ぎて打つため、ラケットを最速でスウィングすることが出来なくなります。大胸筋と広背筋を程よい長さにして大きな力が発揮できるようスウィングすべきです。
ハイバックを打つ状況にもよりますが、頭の横から頭の少し上くらいの打点で打つと腕とラケットを速くスウィングすることが可能となります。
◆右足踵着地直後にシャトルを打つ
下の図は、「前進運動を回転運動に変える原理」です。図の内容を説明すると、例えば、車がスピードを上げ、急ブレーキを掛けたら車の中にいた人間は、前方へ回転しながら飛び出します。
ハイバッククリアの動作でいうと、ホームポジションからハイバックを打つエリアに移動し、右足踵を着地(急ブレーキをかける)してから打つと、移動して得た運動エネルギーをラケットのスウィングに変換されます。車も人間も同じ物体ですから、同じ現象が起こります。
従って、右足踵着地後にシャトルを打つことにより移動で発生した運動エネルギーをスウィングスピードに変換しスウィングスピードを増すことが可能となります。
このようなことから、右足踵着地と同時にシャトルを打ってはいけません。
◆フォロースルー
利き腕の動かし方をおさらいしてみましょう。ハイバッククリアを打つ選手から自身の利き腕の手を見てください。インパクト前は、手の甲が見えます。インパクトまで前腕回外運動とハンドルを握っている親指によってラケットヘッドがスウィングしながら回転してゆきます。インパクト後のフォロースルーは、ラケットを振り切りましょう! 前腕回外位まで振り切ります。
ラケットを振り切った後の自身の利き腕の手を見ると手の平の部分が見えるはずです。手の甲から手の平まで前腕を捻る動作が出来ているかどうか確認してみてください。
前腕回外位とは:回外をし終わった位置をいいます。
◆左腕はリラックス
インパクト前後の左腕(肩から指先まで)は、リラックスして下げておきましょう! 左腕を利き腕の反動動作として使うと、力みが生じるため逆効果になります。左腕を意識的に動かしてはいけません。
◆ハイバッククリアとハイバックスマッシュでやってはいけない動作
<テイクバック動作の途中でラケットを止めない>
テイクバック動作で利き腕の肘を打つ方向とは逆方向に引き、そこで一旦肘の動きと止めてから再スタートする選手がいます。そうすると、再スタートした位置からテイクバック動作を開始したことになります。結果、テイクバック動作が短くなり、スウィングスピードにマイナスに影響します。
<相手コート方向に上半身を動かしながら打たない>
上半身を相手コート方向に動かしながら打つ選手がいます。利き腕の肩関節(支点)を打つ方向に動かしながら打つことになるため、ラケットを最速でスウィングすることが出来なくなります。
シャトルが相手コート後方まで飛ばないから、無意識のうちに実施しているのかもしれません。必ず避けるべき動作です。
<伸び上がって打たない>
上方向に伸び上がって打つ選手がいます。この動作もラケットを最速でスウィングすることが出来なくなります。
高い打点で打たないといけないという先入観念があるのかも知れません。
<後ろに反って打たない>
後ろに反って打つ選手がいます。これもラケットを速くスウィグすることが出来なくなります。
上半身を少し前傾し、右足に体重を乗せて打つとスウィングが速くなります。
◆どうやって打ち方を修正すべきか?
シャトルを打ちながら、適切な打ち方を習得するのは困難です。人間の情報処理は、1チャンネルだからです。シャトルを打つことに注意するために、ストロークに注意が向かないのです。
料理をしながら電話対応ができないことで理解ができると思います。
ではどうしたらいいのでしょうか?
推薦する方法は、「素振り」です。シャトルを打たないので、ストロークに100%注意を向けることができます。全力でスウィングしなくと、70~80%の力で繰り返しスウィングしても十分効果はあると思います。定期的に継続し自動化できるまで実施して欲しいものです。
自動化とは:意識しなくとも求める動作ができる状態
◆ハイバックスマッシュとの相違点
インパクト時のラケット面の角度がやや上方向に向いている場合は、クリアになります。
インパクト時のラケット面の角度がやや下方向に向いている場合は、スマッシュになります。
●ハイバッククリアの技術練習(スプリングキャンプ参加4選手)
上記の説明内容と照らし合わせてご覧ください。グリップは確認が難しいと思います。
以上
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◎バドミントンに関する質問がありましたら、以下のメールに連絡をお願いします。
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