「今日は、会社の創立パーティだ!みんなで回転なべを食べにいきましょう!」
と、ベトナム人の会長が言った。
かいてんなべ?はて?
回転ずしは言わずも知れた日本のファンタスティックな寿司レストランである。
が、 『かいてんなべ。』
ひとしきり、頭をひねったあと、会長の日本語の使い間違えかな。と自分を納得させた。
午後五時。
私は、パーカーにマフラーを巻いて、自転車をこいだ。
そして、ここハイズンシティのナウいビル。『スカイタワー』に集合した。
八階建てビルの七階。
エレベーターがあくと、どんぶりのマークが現れた。
それから、店に入ると、長いチェーンコンベアがあった。
回転ずしと同じシステムじゃないか。
まさしく、回転なべ!
いったい何が回っているかと思えば、
空芯菜、人参、キャベツ、きのこ、
豆腐、
チュンビロン(孵化中のひよこ卵)、
冷凍牛、豚、鳥肉、冷凍つくね、
貝、インスタントラーメン、フォー などだ。
カウンターテーブルには一人用の鍋が埋もれあり、
箸とおたまと「おいしい」と日本語でかかれた皿があった。
スープは赤く、香草がきいて、やや辛め。
具材の種類も少なく、質も良くないが、
おもしろさは満点だ。
とりあえず、なんでも鍋に入れてみる。
一通り汗を流して食べたあと、インスタントラーメンでシメる。
これが、案外おいしい。
気楽さを求める、『お一人様』好きの日本人には、
この『回転なべ』はいい!かも知れない。