本日、旅行初日。雨時々曇り。
6時学校に集合。
全員集合して出発したのは7時だ。
バス二台走らせて、計40名のご一行様は10時半にVanDon(バンドン)に到着した。
ここは港町だ。
ここからさらに船で一時間半かけてQuong Lan(クアンラン)という島へ向かう。
なんとか、島に着くと、そこにはトゥクトゥクが待っていた。
トゥクトゥクというのは、
バイクに8人ほど乗れる荷台を取り付けたバイクタクシーだ。
我われは、トゥクトゥクにビールや何やら荷物を乗せ、ホテルへ向かった。
この街は、まだ日本のガイドブックには紹介されていない。
リゾート地になりえそうな、未開発地である。
ホテルはちらほらあるが、お店も
道路も整備されておらず、でこぼこ道を走る。
でこぼこのたびに、中座っている人が跳びはねる。
ホテルは一部屋五人。ベッドを二つくっつけて、雑魚寝をする予定だ。
これから着替えて、さぁ、海へ行こう。
ホテルの外へ出ると、トゥクトゥク達が待っていた。
ホテルから海まで、トゥクトゥクに8人乗りで出発。
ガタガタガタガタ。
トゥクトゥクが走り出すと、
赤い砂が舞い上がる。
右に揺れれば、私達の体は前におれ、左に揺れれば、私達の体は後ろに反る。
まるで、リアルインディーズジョーンズだ。今にも山から岩が落ちてきそうだし。
または、ディズニーランドにある『ジャングルクルーズ』というアトラクションにも似ている。
こちらは命の保証はないけれど。
しばらくすると、
海、いや、濃い緑の沼が続いた。
静観な景色だ。が、
エンジン音は大きい。
「運転手さん!この島には、日本人がたくさん来るの?」
私は運転手に尋ねた。
「はー?!」
運転手が少し振り返り、大きな声で聞きかえした。
私たちはでこぼこと同時に飛び上がる。
「ここにはー!日本人がー!たくさんー!来ますかー!?」
さらに声をはりあげた。
運転手は分かったと、頷いてから、左手を上げた。そして、親指と人差し指を近づけ
「このくらいっ‼︎」
と、叫んだ。
その距離、5cmくらいだったから、そんなに多く来ないのだろう。
グワァタグワァタ揺れるが、トゥクトゥクを抜ける風が気持ちいい。海の生臭い香りがしてくる。
私達は草木のトンネルを抜けた。
すると、目の前に灰色の地平線が飛び込んできた。
「あ~!海だ~!」
若者は声をあげた。
トゥクトゥクを降りると、駆け足で浜辺に向かう。
そこには、すでに仲間がいた。
荷物を浜辺で待機しているミンくんのお母さんに預け、私は薄いTシャツを脱いだ。
グリーンとショッキングピンクの水玉模様の水着だ。
胸元のリボンが揺れる。
「よーし!行こー!!」
私はトゥオンさんの手を引き、準備運動もしないまま、海へかけていった。
バシャバシャ
しぶきがかかる。
彼女に水をかける。キャぁという声がする。もっと深い所へ行きたい。
私はすぐに体を海に沈めた。ドプン。
温かい。
それから、頭皮、髪、顔、耳が生温かい海水に包まれる。気持ちがいい。
「ぷはぁっ!」
顔を出すと、皆が海に向かって来るのが見えた。
ライトグリーンのビキニに、白のレースのビキニ、赤い紅を引いて、事務の女子達は華やかだ。
私は、胸に手を置き、空を見上げ、体を海に預けた。
大きな空を眺めながら、海と一つになったつもりで、漂っているのが好きだ。
のんびり、のんびり、ただ、のんびり、沈まないように、身をまかせた。
その後、もちろん、皆に顔に水をかけられるという洗礼をうける。
覚悟していたことは言うまでもない。
1時間くらい経っただろうか。
海から上がると体全体がピリピリする。
おかしいな。
すると、突然、右腕につねられたような激しい痛みを感じた。
あわてて腕を見るとそうめんが付いている。
「ぎゃぁ!いたいっいたいっ!」
私が一人で騒いでると、
支店で働かれている大竹母さんが、私の体のそうめんをつまんでとってくれた。
そう、このそうめんの正体は、クラゲだ。
実は、この海はクラゲが多かったのだ。
私の体は痛々しい赤い線まみれとなってしまった。
その後、ホテルの受付で、クラゲに刺されたことを伝えると、透明な石をくれた。これを体に塗ると良いらしい。
こうやって塗って…、これでいいのだろうか?
騙されたと思って、なんでもやっている。
つづく。