牛と遭遇。 | ザクロえびのケセラセラ

ザクロえびのケセラセラ

ベトナムで三年間日本語教師従事後帰国、
2017年に20歳離れた年上の日本人の旦那様と結婚し、
ドタバタ結婚生活が始まる。
心の成長を目指す ザクえび の徒然日記。

{E990F84B-9179-4BA0-80C1-C5E6D5E5F815:01}

ベトナムの朝は早い。

朝日とともに目覚め、日が暮れるとともに就寝する。田舎では特にそうだ。
近所のおじさんおばさん達は4時ごろには動き出す。まだ涼しいうちに公園を散歩したり、エアロビクスをしたり、バトミントンをしたりしている。
わたしも5時半に起き、音楽を聞きながら朝の支度をのんびりとする。
そして、パーカーに麦わら帽子をかぶり6時40分に家をでて、7時から出勤だ。すでに日差しが痛い。

通勤途中には色々なものに出会える。
焼き芋を売っているおばちゃん、ランニングシャツを上げてお腹丸出しで散歩するおじちゃん、空き地でじゃれ合っている犬。今日は、牛の大群に遭遇した。

「モ~」

何十頭もの牛が道路を渡っている。
近くにある原っぱを目指している。
牛飼いが一人いた。女の人だ。
そのお姉さんは、とても痩せていて、肌は黒く、長靴を履いて、ベトナム特有の三角形のワラの帽子を被って、棒のようなものを持っていた。
お姉さんは時々列からはみ出す子牛の尻を叩いて、列に戻るように誘導している。
牛の横を、何食わぬ顔でバイクが走りぬける。私も牛のお尻をみながら自転車を漕ぐ。
牛って大きい。こんなに大きいんだ。
車がぶつかったら、車の方が大破してしまうぐらいデカイ。茶色くてつやつやしている体、この重量感は一体なんなんだ。
知っていたけど、知らなかった。
知っているようで、知らない事は本当にたくさんある。

そういえば、今時の子供は、鮭は切り身の状態で泳いでいると思っている子がいるらしい。
確かに、あの切り身から実際の鮭が大きくて90センチで10Kgもある大魚(5年目の雄鮭)だとは、
想像しにくいだろう。

では、鶏肉と聞いたら何を想像するだろうか。
普段パックで売られている、
あの鶏肉は、沢山の羽をむしらないといけないことを知っているだろうか。
あの豚肉は、身を捧げる前に大きな叫び声を上げたりすることを知っているだろうか。
赤い血がたくさん出る事を知っているだろうか。
ベトナムの子供たちは知っている。

私が学生のうちへお邪魔すると、学生は飼っているあひるをその場でさばいてごちそうしてくれた。まず、首を絞め、アヒルの心臓をくり出す。血を桶に溜める。それから、まるごと熱湯でゆでる。そして、毛をむしり、お腹をひらいて、内臓を全部洗う。
頭から、水かき、内臓、生血まで全部料理になる。
料理の過程をみていると、もう、すでにお腹がいっぱいだ。(食欲がなくなる。)そして、例え、口にあわなくても、「おいしい」という言葉しか出ない。そうゆうものなのだ。

知らないより知っている方がいい。知っているより、実際に体験してみる方がいい。
そして、感動、感情が働いて初めて本当にわかるような気がする。

自然とともに生きるベトナムに学んだ。

私は黒光りする彼らをぎりぎり通り抜けながら、牛の香りいっぱい嗅いだ。

{F6E5D61E-DA29-4EEA-8AF0-666ED2BA7F11:01}