ハノイの病院へ行く。1 | ザクロえびのケセラセラ

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ベトナムで三年間日本語教師従事後帰国、
2017年に20歳離れた年上の日本人の旦那様と結婚し、
ドタバタ結婚生活が始まる。
心の成長を目指す ザクえび の徒然日記。

あ、痛い…。
喉の痛みで目が覚めた。
炎天下の感動の卒業式から一転して、身体の調子が悪くなった。

左側の頬が腫れてしまった。
こんな症状初めてだ。
口の中が痛くて、虫歯の時のようにズキンズキンする。
食べる時も顎が開かない。おちょこ口で、鳥のようについばんで食べる。
3日ほど痛み止めのロキソニンで誤魔化してきたが、
今日は喉まで痛くなってきてしまった。
細菌でも入ったか?
頭にも鈍い痛を感じる。
ひどくならないうちに病院へ行きたい。

「おはようございます。社長、今日、喉がいたくて、ハノイの病院へ行きたいのですが…。」

ハノイには外国人がよく利用するフランス病院がある。とても綺麗で、日本語通訳のスタッフもいるから安心だ。
医者神話説の社長はすぐ車を手配してくれた。(ちょっとした風邪でも、女性の日の痛みでも、病院へ連れて行こうとする。)

私は着替えて学校へ向かった。
15分自転車をこいだ。自転車いっぱいに野菜を積んだおばちゃんが私を追い抜いていく。汗が首からお腹へ流れる。
私のクラスを誰かに変わってもらわなければならない。学生達の宿題も用意しなければ。

授業はヒグチさんに代わってもらうことになった。
「あ~。腫れてるね~。」
ユタとヒグチさんが心配してくれる。
準備が終わると、ちょうど会社の車が学校に着いた。
スタッフのヒエンさんが入ってきた。
「バーキンさん、大丈夫ですか~
?ハイヅン(私たちのいる町)の病院へ行きましょうね。」

「えっ?ハイヅンの?」
私は出ない声をあげた。
健康診断で行ったハイヅン病院は最高に不潔だった。
トイレは5つ中3つ故障中。ペーパーはなく、前の人の汚物がたまっている。
日本人が健康診断を受ければ、
「あなた心臓が弱い。」と診断される。

また、眼科検査の時は、医者に目をじっと見られ、「あなたの目は美しいね。」と微笑まれ、診察が終わる。

(献血はとても上手だった。
使った針はペットボトルへ捨てる。
腕から抜いた注射器から血がぽたりと机の上へ垂れた。気づいているのだろうか
。見ていてハラハラする。)

そんな、ハイヅン病院に、今の私の症状を正確に診断してもらえるだろうか。

「今回は、ただの風邪じゃなさそうですから。」
「細菌が入ったかもしれないから。」
「ハノイの病院へ行った方がいい!」と、ヒグチさんとユタが私の代わりに、猛弁してくれた。

「そうですか?じゃぁ、ハノイのフランス病院へ行きましょうね。」
ヒエンさんは行き先を変更した。

そして今、微笑み王子の運転手ロイさんと三人でハノイへ向かっている。

「ピッピー!」

突然、高い笛が響いた。
席を倒して寝ていた私の身体が前後に激しく揺れた。
顔を上げると、
ベージュの制服を着たコーアン(警官)が車の前に立っていた。

果たして、無事にフランス病院まで
たどりつけるのだろうか。
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つづく。