平常心でいられるかゲーム。 | ザクロえびのケセラセラ

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ベトナムで三年間日本語教師従事後帰国、
2017年に20歳離れた年上の日本人の旦那様と結婚し、
ドタバタ結婚生活が始まる。
心の成長を目指す ザクえび の徒然日記。

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おしゃれしたい。だって女の子ですもの。
HD町の中で一番値段が高い「NEM」というファッション店がある。
店も大きく、ウィンドウにはカラフルな服を着たおしゃれなマネキンが立っている。
店内も明るく、日本のお店みたいだ。
商品は、ベトナムで人気の、ボディコンスタイルから、お嬢様ワンピ、マキシワンピ、ブラウスなどがそろっている。
普段はお値段が高いが、(マキシワンピが250万ドン(12000円)。日本と同じくらいだと思うと、どうも買う気になれない。)セールの時だったら、まぁまぁいい値段になったりする。
今回も50%セール来たー!
午後1時、自転車に乗ってNEMにやって来た。
自転車を駐輪場のおじさんにまかせ、火照った体のまま、お店に入ると、ガンガンに冷えた冷房風がわたしを迎えてくれた。
「何かいいのあるかな。」
タグを見ると、プレイボーイ、バーバリー、ザラ、ギャップ…と有名な品がそろっているが、これは、もちろん、タグ違いの偽物である。
本物が見たら、斬新なデザインになっていることに驚く、いや、喜ぶかもしれない。
大抵派手過ぎて、ウィンドウショッピングで終わってしまうことも多いが、今回は違った。
「あっ。」
わたしの目に黄色い布地に小花がちりめばめてあるキュートなお嬢様ワンピが飛び込んで来た。
かっかかわいい。即試着してみて、まるでお人形さんのよう。
少しヒールのある靴を履けば、ぐっとおとなっぽくなる。
ただ、胴回りや肩幅がやや大きい。
最後の一点のワンピでサイズがこれしかない。
値段は160万dの半額だし、どうしよう。
何度も鏡の前を行き来して、散々迷ったあげく、「サイズ無料でお直し可」ということで、買う事に決めた。
お会計ありがとうございます。可愛いのが買えて良かった良かった♪めでたし、めでたし♪

ちょっと待った。これで、無事に終わってはベトナムじゃない。

「ここを少しつめればいいわね。」エスニックな顔立ちの店員さんが私の背後で言った。
「あと、ここもね。」わたしは肩幅を指差した。
お姉さんは適当に服をつまみ、このくらいね。と、ニッコリ。さ、脱いで脱いでと催促される。
わたしは何やら嫌な予感がした。
あれ?マチ針とか、ピンでとめないの?
「では、今日の5時にできますから、取りに来てね。」
「わかりました。」と返事したものの、わたしは不安を感じていた。
一度、会社の制服で経験したことがあるからだ。オーダーメイドでズボンを仕立ててもらったのだが、洋服店はろくに体のサイズを計らないから、出来上がったズボンはどう頑張っても、太もも止まり。きつくて入らないのだ。そして、作り直すことになったが、作り直すときもきちんとサイズを計らないから、、結局、計2回作り直すことになった。これを英語でいうと「ニドデーマー」ね。

5時、約束の時間になり再来店した。
「服をとりに来ました。」お店の人にお直し票を渡す。
「ちょっと待ってね。」さっきと違う店員のお姉さん。背が低くて肌が白い。奥の部屋へ下がり、すぐに戻って来た。
「まだだった。今からするから8時に取りに来てね。」
チーン。なんとなく、そんな気がしていたから怒りの気持ちはなかった。時間を守るお国ではないのだから。

8時、再々来店。
「出来ているよ。」エスニックなお姉さんがワンピースを持って来た。
「じゃ、着てみるね。」私は、いそいそとワンピに袖を通した。
「チャックをあげましょうか。」お姉さんがカーテンを開けて入って来た。着替えかけで下着姿なんだけどさ、もう恥ずかしいさとかはない。。。
すると、「あ、あれ?」お姉さんの手が私の脇腹辺りで止まる。チャックがあがらない。
ほ~らね~。
「うそ?あがらない?じゃあ、今からまた作りなおす。」お姉さんは当たり前のように、わたしからワンピをはぎ取り持って行った。
完全にあの日のデジャブ、「ニドデーマー」が起きた。
奥の部屋からミシンの音が弾丸のように聞こえくる。もう、新しい服を何度も切ったり、縫ったり、やめてくれ~!!!と、わたしは心の中で叫んだ。
「15分待ってね。」お直し間、お姉さんの家族事情を聞いたり、結婚していることが分かったり、わたしと同い歳だったことが判明したり、こどもの写真をみせてもらったり、色々なことが分かった。そして40分後。
ようやく完成した。
こうして、黄色の花柄のワンピは無事に私の手元にやってきた。
ワンピの背中にがっつり青いチャコペンシがついていようとも、そんなことぐらいで、わたしの心は揺るがないのだ。
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