<書類の偽装の蔓延>
当委員会が行ったフォレンジック調査(PC等に残る記録を収集・解析する調査)及びインタビューにより、多くの行員が偽装に関与していることが認められた。
フォレンジック調査の結果として検出された偽装が疑われる件数(資料の数)は、2014 年以降で 795 件であった。
当委員会によるアンケートとは別にスルガ銀行が行ったアンケートでも、多くの行員が偽装行為について、自ら偽装したか、偽装を黙認したか、又は偽装の疑いを持ちながら融資を実行したと回答した。
取扱案件が多かった業者とのやり取りに着目して行ったフォレンジック調査においても、当委員会が調査した限りで偽装が疑われるやり取りが含まれる電子メールが数多く検出された。
以上から、正確な偽装行為の件数を数えるのは不可能であるものの、書類の偽装が収益不動産ローンの全般に蔓延していた事実が認められる。
イ)原本確認の不徹底
以上の融資手続の中で、スルガ銀行においては、原本を徴求しなければならない旨の 明確な規程が存在していなかった。そのような中で、2014年5月29日、カスタマーサ ポート本部長(当時は岡綺氏)から「資産形成ローン申請時送付書類の簡素化について」と題する通達が発出され、自己資金確認資料等の審査第二部への送付が不要(営業店所属長の確認で足りる)とされた。
さらに、2015年10月22日には、同じくカスタマーサポート本部長(当時は麻生氏)名義で、「個人ローンビジネス新運用基準」が定められ、白己資金の確認について、申請段階はヒアリングで可として、実行時までに所属長(センター長)において確認することとされ、白己資金の確認を営業担当者に委ねる方針が徹底された。このような通達・基準は、審査部に送付する資料を簡素化させることで、審査スピードや効率性をより向上させる趣旨であった。
このように、スルガ銀行においては、原本確認を営業現場(所属長)の責任で実施すべきものとされていたが、実際には、所属長は、多数の取扱案件すべてについて白ら原本確認を行うのは物理的に不可能である等の理由により、原本確認を白ら行っておらず、原本確認が徹底されていなかった。
スルガ銀行においては、相当以前から業者による書類偽装がなされ得ることを認識しており、また、2015年1月16日の経営会議において、投資用マンション融資に係る集団訴訟に関する報告がなされる中で、一部の案件で所得確認資料の偽装の疑いがある旨が報告されるとともに、白井氏からは 「当社社員が通帳や源泉徴収票のコピーを業者から受け取り現物を確認していないことが問題」との発言があり、光喜氏からも「資料が正しいものかどうかの確認義務は銀行にある。原本確認を怠っていることが問題」との指摘がなされていたのであって、原本確認の必要性については、経営陣を含めた行内全体で認識がされていたものと思われるが、実際の現場では原本確認が徹底されなかった。
(ウ)結果として発生した問題(偽装資料に基づ<融資実行)
以上の原本確認を怠った結果、シェアハウスローンを合む収益不動産ローン全体で資料偽装が蔓延し、融資審査でそれを防ぐことができず、偽装された情報に基づく融資が実行されることとなった。
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※調停委員+裁判官で行う民事調停
一棟物「収益物件」の
「元本一部カット・金利減免」には事業再生計画書等の資料作成が必要です
取引調査書の作成
<不正行為とお客さまの投資判断との間に相当因果関係>の解明
必要書類の種類
□経過報告書(※宅地建物取引業法による規制のcheck)
□ 建築請負契約書 契約締結時
□土地売買契約書
□サブリース契約書
□Line,メール等具体的エビデンスの収集(スルガ銀行・チャネラー)
□登記簿謄本
□金銭消費貸借契約類
□名刺:スルガ銀行・販売店(チャネラー)
□スルガ銀行第三者委員会報告書(※1)の精査
□スルガ銀行に必要書類を開示請求(出金伝票や通帳コピー等の与信資料の開示)
※宅地建物取引業法による規制のcheck
- 宅地建物取引業者票の掲示
- 誇大広告等の禁止、広告開始時期の制限
- 重要事項の説明
- 契約締結などの時期の制限
- 契約内容を記載した書面の交付
- 手付金等の保全
- 手付貸与の禁止
- クーリングオフ
「与信資料の改ざん」は宅建業法65条1項※2の「業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき」に該当
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申込受付
TEL 03-3524-7275
https://fudousan-bengodan.com/
スルガ銀行投資用不動産被害者交流会(STK)