ゴルフは、静かなスポーツだ。

波風の立たない湖の水面に立って、足元にあるボールを見つめているイメージ。

手のグリップや、膝の曲げ加減、背筋の伸び、腕の位置、頭の位置。
糸で吊られた操り人形のように、
ここが最適という落ち着き場所を探して、
ゆらゆらする。

ふと、水面に映る自分の姿が目に入る。
ボールに対峙して微調整を試みていた自分は、どこかに消えてしまう。

不安や、悩み事が、じわじわと底から浮かび上がってくる。
最悪の場合を何度も反芻する。

さざ波が、ざわざわざわざわと
無数の波紋を生み出す。

苦しくなってくる。

10回のうち7回は、ボールが見えていない。

2度目のコーチをつけた。
基本の構えを、もう一度矯正された。

猫背になるな。
手の位置を自然に、もう少し下に。
最初から最後までボールを見続けること。

それだけやる。
それだけ考えていたら、久々に集中している自分がいた。
いい感じ。

心が乱れる時は、何か一つだけと決めて
それだけに集中すれば
必ず良い結果を出せるメンタリティに近づける、と思う。