道議会の定数削減問題について考える(1) | 「永田町で考える地方のまちづくり 」

道議会の定数削減問題について考える(1)

道議会は8月の月例委員会を終え、
いよいよ9月の定例会に向けて、各会派での動きが活発化する。
その中でも最大の問題と問題とも思われるのが、
いうまでもなく、定数削減の問題である。
北海道議会の現在の定数は106。
前回選挙時に道議会史上初めての定数削減が実施された。
その後、死亡1、市長転出3、国会転出2で、
道議会はちょうど100人で行われている。
議会の大きさとしては、この程度が一番動かしやすいのではないか。
というのが、3年あまり勤めてみての率直な感想である。
9の常任委員会があるので、各委員会は11から12の委員で構成される。
余り少ないと、本会議はともかく、委員会が回らなくなる。

とは言いながら、人口減少という社会構造の変化にあって、
また、経済状況の長期低迷に伴う道財政の悪化もあって、
道議会の定数削減に関しては、強い道民の関心もある。
そこで、議員定数問題を考える上でのいくつかの論点について考えたい。

①総定数
これは、道民何人で一人の道議会議員を抱えるのかという問題であって、
560万道民で100人の現有であれば、56000人にひとりとなる。
ただ、この数字は都府県でも大きな差があり、
東京都のように10万人近くで一人の議員というところもあれば、
鳥取県のように1万数千人で一人の議員というところもある。
概して、3大都市圏では議員一人当たりの人口は多く、過疎県は少ない。
これといった、明確な回答はないと思われる。

②定数不均衡(札幌問題、地方の声問題)
選挙である以上、1票の格差をなるべく小さくするというのは大前提だ。
よく、政令指定都市である札幌市には道議はいらないという人がいるが、
それは、憲法に反する暴論である。
普通に考えても、札幌市民も道民税を支払っている以上、
等しく道政に参加する権利がある。札幌選出道議も必要なのだ。
その上で、道議の定数を人口だけでなく選挙区の面積でも考えるという
折衷的な案もあるようだが(例えば札幌の定数を各区一律2にするなど)、
これも憲法的には極めて違憲の可能性が高い。
これは、国政においても、東京都心部と北海道12区の面積対比が
なんら問題になっていないことを考えればすぐにわかる。

以上を考えれば、
①と②を同時に解決する定数議論というのは、非常に難しい。
特に削減が前提となっている場合にはそう言わざるをえない。
暴論であることを承知であえて言えば、
札幌市が、北海道から離脱すれば、札幌選出の道議はいらない。
というか、いたらおかしいことになる。
道議会の定数問題は不可能な二兎を追おうとしているのではないか。
私たちもその点を基本に今後の議論に臨んでいきたい。