事故米不正告発で見えてきた、戸別所得補償の問題点。 | 「永田町で考える地方のまちづくり 」

事故米不正告発で見えてきた、戸別所得補償の問題点。

農林水産省は事故米を正規米として流出させた疑いで、4社を刑事告発したと報じられています。
今回のケースは2年前の検査で見抜くことができず、帳簿の再検査によってようやく判明したもののようです。
ここで分かるのが、根強い転用圧力です。もちろん、事故米を安く仕入れて正規米として高値で売りさばく差益狙いですが、同様のケースは今年から導入されている戸別所得補償でも発生する可能性大です。
つまり、今回は水田のフル活用を目的として、新規需要米に補助金を出す制度が導入されています。新規需要米は主食用として販売しないことになっていますが、今回は事件同様に転用される恐れが高いのです。例えば、豊作になったとしましょう。新規需要米の販売予定を上回る米が取れました。しかし、前もっての契約でこの米が余ったとします。豊作で主食用の米の値段も下がります。その差額を補う方法として、転用は有力なツールになりかねません。逆に不作の場合、主食用の米の値段は上がります。しかし、新規需要米は契約で前もって値段が決まっています。損害賠償を払っても、主食用として転用した方が儲かるならば…。このように、主食用と新規需要を完全に分離して管理することができない以上、こうした転用は犯罪ですが後を絶たないものと推測できます。その結果、長期的には必ず米余りが発生し、主食用の米の値段は下がり、戸別所得補償の費用も増大すると考えられます。誰も食べない米が大量に余って、それでも食料自給率が向上したと喜ぶのは、私には程度の低いブラックジョークにしか思えません。