農家に対する戸別所得補償の目的は、大きく3点。規模別に見ると難点浮き彫り。 | 「永田町で考える地方のまちづくり 」

農家に対する戸別所得補償の目的は、大きく3点。規模別に見ると難点浮き彫り。

農林水産省のメルマガに見る、戸別所得補償の目的は以下の通り。

 戸別所得補償制度は、意欲あるすべての農家が農業を継続できる環境を整え、創意
工夫ある取り組みを促していくことを目的としています。このモデル対策の主なねら
いには、次のような3つの側面があります。

 まず第一は、「食料自給率の向上」です。農地が限られる我が国において、食料自
給率の向上のためには、水田を有効に活用することが不可欠です。そのためには、米
の需給調整を効率的に進めつつ、水田作の麦・大豆の反収向上、麦の二毛作の飛躍的
拡大、不作付水田における米粉用・飼料用米の作付け拡大等に取り組む必要がありま
す。こうした課題に着実に取り組むには、水田における麦、大豆等の作付拡大を進め
るのに併せて米を対象にした所得補償を実施し、「水田農業の担い手」の経営を支え
ながら、主食用米以外の作物の増産を促進していくことが重要になります。

 第二は、「農業経営の改善」です。米については、近年、販売価格が生産コストを
恒常的に下回る状況となっているにもかかわらず、これまでコスト割れを補う支援策
がなかったことから、米に対して一定額の助成を行うことにより、稲作農家の経営継
続を支援し、将来の経営発展の機会を確保することが必要です。

 第三は、「生産調整の見直し」です。米の生産を抑制することを目的に、米の生産
調整を麦、大豆等への支援の要件としていた従来の手法を転換し、米の需給調整は米
のモデル事業で支援する仕組みとし、需給調整に参加した農家だけが米のモデル事業
のメリットを受けられることとなります。一方で、自給率向上事業では、米の生産数
量目標の達成にかかわらず、水田における麦、大豆等の生産を支援することで、これ
まで需給調整に参加してこなかった農家も段階的に需給調整に取り組むことが可能と
なります。

 私は、何度も指摘しているが、食べない米、もっといえば廃棄される米であっても
生産されれば自給率の分子にカウントしてよいという現行計算方法には問題がある。
コメはカロリーも高い穀物であるから、生産すればするほど食料自給率は上がる。し
かし、これは本当の意味での食糧安全保障とは違う。限られた農地の中で、国民が健
康を維持するに足る農業生産(品目別生産目標導入)の理念を提示することなく、米
偏重の農政を維持することの限界はとうに見えているはずだ。
 経営規模の大小も今回の所得補償では一切顧みられていない。大規模農家は、土地
購入代金や賃料、さらには水利費の負担など、小規模農家に比べて比較にならないコ
ストをかけている。食糧安全保障は、専業的な農家経営が軌道に乗ってこそ達成され
る。今の農業政策にはその視点は全くない。