人と人はどうやってつながるのか | 「永田町で考える地方のまちづくり 」

人と人はどうやってつながるのか

まずは、時事通信の配信記事から
 
需要減でも道路整備=「総合評価」「命の道」-政府・与党
 国土交通省が26日、将来の道路需要推計を大幅に下方修正した。高速道路から市町村道まで今後の整備計画に影響を与えそうだが、政府・与党内には、救急医療や通院など生活に欠かせない「命の道」といった観点を強調し、道路整備の継続に向け予防線を張る動きが出ている。同省はこうした医療のほか、観光や地域活性化、企業立地などへの道路整備効果について「総合的な評価」を検討する方針だ。
 「災害や医療など(整備効果を)算定しづらいものはどうなる。田舎は人が少ないから道路を通さなくていいという議論は乱暴だ」(東国原英夫宮崎県知事)とする地方の声は、経済状況の悪化につれ大きくなる一方だ。河村建夫官房長官は同日の記者会見で「直ちに道路投資を減らせる状況にない。『命の道』など身近で重要な道路整備の要望は非常に大きい」と述べた。
 国交省は年内に策定する道路整備中期計画の下に「地方版計画」をまとめる予定。26日開かれた自民党道路調査会で同省の金井道夫道路局長は「地方版計画には『命の道』を着実に入れたい」と約束した。同調査会の山本有二会長も「整備スピードを遅らせたり整備をやめたりするかどうかは、地方版の計画との整合性があるので簡単に言い切れない」とし、今回の需要推計にとらわれない計画づくりに意欲を示している。
(了)(2008/11/26-21:20)

二極対立を煽るな
 時事通信などはまだ公平ですが、マスコミの中には、道路を造るのは是か非かというような対立に持っていこうとするところも多いです。皆さんは道路いったときに、まず何を思い浮かべますか?高速道路?家の前の道?「道路」という概念は広すぎなのです。その概念のまま有り体にいえば、必要な道路もあれば不要な道路もある。上の配信記事に出てくるような「命の道」これであれば、ある程度議論の俎上に乗るでしょう。しかし、その道は病院の目の前まで整備することを意味しているのでしょうか。

道は文明を運んだ
 シルクロードやローマ街道を引くまでもなく、道は文明を運んできました。当時は、人と人とが接触する以外に文化の伝達は起こらなかったのでしょう。しかし、文字文化が発達し、抽象的な情報として処理できるようになると、人と人とが直接接触しなくても意思の疎通や文明の伝播が可能になりました。インターネットの普及した現在であればなおさら、遠隔者とのコミュニケーションも可能かつコストも低くなってきました。現代において、そうした道の積極的意義をどこに求めていくべきでしょうか?

人口減少社会の中で
 もうひとつ重要なのは、人口はついに減少を始めたということです。これから先、まさに人の通らない道路が増える可能性は誰も否定しえません。よく言われる話ですが、山奥の一軒家まで道路を整備し街灯をつけ、電気や水道まで供給することが本当に政府や自治体の役割でしょうか。どんな過疎地もいつか元気になって人が増えるというのは幻想です。悪い夢です。限界集落の話をするまでもなく、つなぐべき人がいなくなる、それが人口減少社会です。そういう意味では、今回の道路需要推計が下方修正されるのは、人口減少のスピードから見てごく当たり前のことかもしれません。右往左往、一喜一憂するのではなく、道路の在り方について理念を示すべき時が来ています。