子供と漢方エキス剤 | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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Gです。

 

自分の体調不良時には漢方薬を飲みます。

すぐに手に入るのでエキス剤を飲むことが多いです。

周囲を見渡すと五苓散を飲んでいる人、抑肝散を飲んでいる人などよく見かけます。

自分では五苓散、小青竜湯などが多いでしょうか。

(先日は黄岑湯を飲んでいる人もいましたね。)

ウチダの八味丸は当科でもファンが多いようです。

 

さて、外来では小児の患者さんもいるのですが、なかなか上手に飲めない方も

おられますね。

そこは漢方医としては「湯に溶いて服用」と言ってみるのですが、

自分の子供でも親の意に反して飲んでくれないことがあります。

最近、色々なものを自分の子供に飲ませる機会がありましたので、そのときの様子を書いてみます。

 

①呉茱萸湯エキス

7歳児。頭痛と嘔吐と心窩部の冷えで呉茱萸湯を飲ませる機会があった。さすがにお湯に溶いたら飲めないというので粉のまま飲ませた。苦くても何とか飲めた。30分後に症状消失。(そういえば、私はまだ呉茱萸湯を飲んだことがない)

 

②小建中湯エキスと桂枝茯苓丸加よくい仁エキス

4歳児。どちらも湯に溶いて飲んだが、「この味はそのままの方が美味しい」と、粉のままボリボリ噛んで、美味しく味わったあと白湯で飲み下した。

 

③当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス

4歳児に飲ませた。もうかなり警戒しているので、まず粉のまま味見をして「絶対飲まない!」と言われた。白湯に溶くのは諦めて、仕方なく粉のまま飲んだ。

(そういえば、私はまだ当帰四逆加呉茱萸生姜湯を飲んだことがない)

 

④麻黄湯エキスと平胃散エキス

0歳児。6ヶ月のときに麻黄湯と平胃散を別々に投与する機会があった。エキスをスプーン1杯の湯で練って、頬の内側に塗った。割と美味しそうな顔をしていた。

 

⑤小青竜湯エキス

0歳児。7ヶ月のときに鼻水がひどく、小青竜湯を麻黄湯と同様のやりかたで練って頬の内側に塗った。激しく嫌がって泣いた。母親がいないときの出来事で良かった。危ないところだった。症状は良くなった。少量の湯で練った小青竜湯は、湯で溶かしたものを飲み慣れた私が飲んでも、とても酸っぱくて飲みにくい味だった。次に、9ヶ月のときにまた小青竜湯を投与する機会があった。梁 哲成先生(やんハーブクリニック)の講演で知った方法を試してみた。

これは水飴が入っていたシリンジ型のお菓子の容器医療用ではありません)。シリンジを一旦抜いて中に粉を入れ、お湯を吸って振ったり叩いたりして溶かした。同じ味でもあまり嫌がらず、予定量をスムーズに投与できた。結構な勢いで吸いました。

 

親としてはシリンジでの投与は大満足です。赤ちゃんへの投与の際の苦労がかなり減ります。

 

シリンジ型の容器のお菓子は駄菓子屋で時々見ますし、一般の方にも手に入りやすいのではないでしょうか。シリンジ内の粉はボルテックスミキサー(Wikipediaへリンク)を使えば効率的に溶けるかもしれません。しかし、実験器具ですので、無理でしょうね。そこで、溶け残りの粒が気になる方は乳鉢ですりつぶすと良いですね。エキス剤がサラサラになります。これは日用品としても売ってありますし、amazonでも容易に手に入ります。

 

以前勤務していたところで高齢患者さんに「エキス剤が入れ歯に挟まって痛いから、もう飲まない」と言われることが何度もありました。このようなときにも乳鉢は役に立つかもしれませんね。乳鉢を使用するとサラサラにするのに3秒ほどしか要しません。

その他、強引な方法ですが、パッケージの上から丸い棒状のものを転がし、ゴリゴリするとサラサラのパウダー状になります。今回はスティックのりでゴリゴリしました。

興味のある方は試してみて下さい。