寒いですね。

風邪を引いたのかもしれません。

鼻水が出ています。

皆さん、寒さ対策は完全にね!

 

さて、本日は鈴木 明子の短歌を鑑賞します。

 

 

君とありてひたすら生きし部屋の扉に転居と書きて涙たりくる

                                   ―鈴木 明子

 

きみとありて ひたすらいきし へやのとびらに てんきょとかきて なみだたりくる

 

 

人は毎日を一生懸命生きている。

一人だから気楽なのか、

あるいは共に頑張れる恋人がいるから、

さらに頑張れるのかは分からないが、

この作者は同じ部屋で生活を共にし、

苦労を共にした恋人がいる。

 

二人で頑張ったこの部屋を去ろうとしている

瞬間をこの歌に詠んでいる。

 

扉が開いている場合は、

未来に続くことを連想させ、

可能性を暗示させる。

 

しかし閉じた扉は過去を振り返らず、

過去から決別した様子を

暗示させないだろうか?

 

「ひたすら」生きなけばならなかった、

この部屋を出る事は生活の向上が

あるからだろうか?

もっと楽な人生を手に入れたからだろうか?

 

涙を流してこの部屋を眺める時、

つらい思い出、楽しい思い出が

混ざりあって脳裏に蘇ってくるのだろう。

 

でも人は人生を前進していかなければならない。

過去を振り返る時もたしかにある。

 

でもそれを振り払い、新境地に向かっていく人が、

今年もいるのだなあ。

 

文学ディレッタント  飯島 昭典