43歳のオッサンがアイドルにハマって「人生が変わった」そのワケは? | 飯島 愛ちんのガッタス・オスピタル

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アイドルにハマって人生が変わった43歳男性 推しメンに涙を流す

サイリウムもまた美しい(撮影/名和洋祐)

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「ロスジェネ40代」が働く環境は過酷だ。デフレしか知らずに育ったので仕事にありつけるありがたみが身にしみついている。そのためバブル世代の「なんとかなるだろう」という無責任なお気楽さや、ゆとり世代やさとり世代の「そんなのできません」という執着のなさがそもそもまったく理解できない。かといって、同世代は正規非正規で分断されているので団結することもできず、にっちもさっちもいかない鬱々とした日々を過ごしている。

◆オジサンたちが涙を流す
アイドルのライブ

 そんなオジサンたちがこぞって目を輝かせている「現場」がアイドルのライブだ。握手会やチェキが撮れるいわゆる「特典会」には、そんな日々のストレスから解放されたオジサンたちの笑顔であふれている。

 筆者もそのうちの一人なのだが、正直に告白すると、8か月前まではまったく興味がなかった。アイドルグループのためにCDを大量購入するという動機もわからなかったし、20歳以上、場合によっては30歳も年が離れた女性に熱狂できる心境というものがいっこうに理解できなかったのだ。
 ところが、現在では「推しグループ」(応援しているグループ)のスケジュールは最優先事項であり、「推しメン」(応援しているメンバー)が単独イベントで北海道に行くとあらば「推しメンの晴れ姿を見ずに何が人生か」とばかりに追いかける。CDの発売記念イベントで、メンバーが涙を流してファンへの感謝を述べると、もらい泣きして号泣している。

◆美しい風景と言葉が人生を変える

 この豹変ぶりはいったいなんなのか……。心境の変化について偽りのない自己分析を行ってみたい。と言いながら、もう結論は出ているのだが。それは、名状しがたいほどの「美しい風景」を見てしまったからだ。とくに、上司や部下、取引先、親や子といった社会的なつながりとはまったく関係のないところからふいに現れる美しい風景に出合い、心を鷲づかみにされ一瞬で陥落した。これはもう独特の経験だと言っていい。

 よく筆者は同好の士であるファンに「なぜこのグループなのか? なぜこの推しメンなのか?」と聞いて回るのだが、「特典会で〇〇ちゃんにこう言ってもらったから」と答えるファンが多い。その一言は実にさまざまだが、その言葉をとてもとても大切にしているのだ。いい歳をしたオッサンが真顔で答えるのだから混じり気なしの本物だ。

「美しい風景」というのは、文字通り見たものの場合もあるが、言葉でもある。それは自分の原風景となり、人生のモチベーションの源泉となる(佐々木誠『人生を変えるマインドレコーディング』に詳しいので興味のある方はどうぞ)。その風景、その一言があれば、人は夢中になって続けることができる。「何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった」ではないが、振り返ってみてほしい。かつて自分が見た風景、人に言われたことで、いまにつながっているものはないだろうか?

 例えば、筆者は、子供のころから好きなものを友達に教えたがりで、「お前が勧めるものは面白い」と言ってもらったことが原風景として存在し、今は編集者として、自分が好きなものを飽くことなく人に発信している。好きなものを誰かに伝えるのは息をするも同然なので、生まれてこのかたずっと続けられている。

◆アイドルの頑張りは甲子園球児並み

 では、お前がアイドルの現場で見た「美しい風景」とはなんなのだ?と問われれば、それは、「頑張っている人を応援して元気をもらっている人がいる」という事実に気づいたことだ。アイドルはめちゃくちゃ頑張っている。日中は学校に行って、放課後はレッスン、そして土日はライブやイベントだ。その過酷さは、甲子園球児並みだ。いわゆるアーティストのパフォーマンスやプロ野球などの試合、興行を見る場合は、「完成された芸を披露してもらう」のが主であって、「頑張っている人を応援しにいく」ケースは少ないだろう。しかしアイドルの現場は、頑張っている人を応援することで、頑張っている人が成長して、その結果、応援している我々が元気をもらう場だったのだ。グループとファンが一体となって元気を分かち合っている風景を見て、そして、かつて小沢健二が「喜びをほかの誰かとわかりあう それだけがこの世のなかを熱くする」と歌ったことの意味に気づいて文字通り椅子から転げ落ちた。会社で「部下が上司が……」とひーこら言っているヒマはないし、ツイッターで見知らぬ人とケンカしている場合ではもはやない。

……とまぁ御託を並べてみたものの、最大のポイントは筆者の推しグループ「マジカル・パンチライン」が、そして推しメンの「清水ひまわり」さんがベリーキュートだからだ。10月20日、横浜ベイホールでマジパンのワンマンライブが開催される。きっとかつてないほどの美しい風景が見られると思う。皆さんぜひ「現場」でお会いしましょう! 〈文/SPA!マジパン部 撮影/名和洋祐 石津大助〉

 

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