異常なしがEBV感染症…難病指定訴え | 飯島 愛ちんのガッタス・オスピタル

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松来未祐さん


 病気はなぜ見つからなかったのか。昨年10月に38歳で亡くなった人気声優、松来未祐(まつき・みゆ、本名・松木美愛子=みえこ)さんの両親が、娘の命を奪った「慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)」の周知と難病指定を願い、伏せていた病名の公表に踏み切った。EBウイルスは日本人の成人の9割以上が保有しているとされるが、発症はまれ。医師の間でもあまり知られておらず、松来さんは通院を繰り返しても感染判明まで1年以上かかった。公表は松来さんの遺志でもあった。


<生まれつき赤いあざ 難病公表の男性、ネット上で賛辞>


 広島県内に住む父の松木孝之さん(69)と母智子さん(68)によると、松来さんが最初に体調不良を訴えたのは2013年ごろ。夜中になると39度台の高熱に苦しんだ。昨年正月の帰省時には、首のリンパ節が腫れ上がり疲労を訴えた。東京都内の複数の病院を受診し、がんの検査も受けたが、診断はいつも「異常なし」だったという。

 CAEBVの疑いが分かったのは昨年6月。専門医がいる都内の病院を紹介された。7月2日に診療予約をしたが、6月30日に呼吸困難に陥って、この病院に救急搬送され入院。抗がん剤治療を経て9月に退院したものの、2週間後に容体が悪化し、10月27日に亡くなった。

 孝之さんは松来さんの友人らから、本人が闘病中に「元気になったら手記を発表してCAEBVを知ってもらい、一人でも多くの命を救いたい」と話していたことを聞き、昨年12月に病名を公表した。反響は大きく、病名がインターネットのニュースサイトで紹介されると、ネット上には多数のコメントが寄せられた。国にCAEBVの周知徹底と難病指定を求めている患者団体「SHAKE」ホームページのアクセス数も大幅に増えた。

 「東京の大きな病院をいくつも回ったのに、何で分からんかったんや」。孝之さん、智子さんは診断が遅れたことに疑問を持ち、CAEBVの難病指定を求めている。指定されれば、3万円ほどかかる自己負担の検査費用は軽減され、医師間に周知され、早期の発見・治療に結びつくと考えるからだ。

 国は昨年、指定難病を約300に拡大。今年3月末までにさらに追加する予定だが、CAEBVはウイルスによる感染症との位置づけで、指定は狭き門という。

慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)

 唾液などを介して感染するEBウイルスが、免疫をつかさどるリ

ンパ球内で増殖し、内臓や血管などの炎症、皮膚炎、悪性リンパ腫など多岐にわたる症状を引き起こす。発症メカニズムは不明で、治療法は確立されていない。現状では、炎症を抑えるステロイド剤や抗がん剤の投与、正常なリンパ球を増やすための骨髄(造血幹細胞)移植などの治療が行われている。

          ◇

 京都府福知山市の女性は松来さんの死因公表をインターネットで知り、すぐさま遺族に手紙を送った。有名人が公表したことで、CAEBVが注目されると考えたからだ。女性の娘婿の男性は昨年、37歳の若さでCAEBVで亡くなった。

 大阪市内の料理店で働いていた男性は約2年前に高熱を出し、リンパ球内でEBウイルスが増殖する「EBウイルス関連リンパ増殖症」と診断された。昨年、CAEBVと診断され、7月に造血幹細胞移植を受けた。移植後いったんは良くなったかに見えたが、すぐに容体が悪化。網膜剥離による失明や呼吸困難などさまざまな症状で9月に亡くなった。

 女性は「今振り返れば、4年前ぐらいから病気の症状はあったが、その時は診断がつかなかった。EBウイルスは身近なウイルスと知り、難病指定によってこの病気を誰もが知るようになれば、幼い2人の子供を置いて亡くなった義理の息子の無念が晴らせるのでは」と話す。


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