病と生きる シンガーソングライター・より子さん(25) | 飯島 愛ちんのガッタス・オスピタル

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2度の病を乗り越えたシンガーソングライターのより子さん。「家族のきずな、仕事や生きるありがたみ…それを教えてくれたのは病気」と話す=11月30日、東京都渋谷区(伴龍二撮影)2度の病を乗り越えたシンガーソングライターのより子さん。「家族の絆、仕事や生きる有り難み…それを教えてくれたのは病気」と話す=11月30日、東京都渋谷区
■2歳で卵巣癌と闘う 生への実感、歌に乗せ入院中だった幼いころのより子さん(右)。病院に置かれた古いオルガンを弾くのが大好きだった(より子さん提供)入院中だった幼い頃のより子さん(右)。病院に置かれた古いオルガンを弾くのが大好きだった(より子さん提供)


 シンガーソングライターのより子さんは2歳で卵巣癌の為 右卵巣を全摘出し、幼児期の3年間を病院で過ごした。小児癌克服後も21歳の頃、卵巣腫瘍(しゅよう)を患い、左の卵巣にメスを入れた。2度の病を乗り越えた今、「家族の絆、仕事や生きる有り難み…それを教えてくれたのは病気」と話す。そんな生への実感を歌に乗せ、聴く人に届ける。 卵巣癌が見つかったのは、おむつ姿の2歳の時 膨れあがったお腹で激痛に泣き叫ぶ私を、夜間救急に運んだと聞きましたが、痛みを覚えていない。記憶にあるのは手術室にあった縫いぐるみと、麻酔が痛くてわーっと泣いた事。手術が終わるとベッドの隣でトマトを剥いていた母の姿です。
 シンガーソングライターのより子さん入院での抗癌剤治療は3年間。薬のオレンジ色を見ただけで吐く程気持ち悪かったけれど、物心付いた時から3度の食事みたいに生活の一部。「何故」なんて思う事もなく、耐えました。 私が「癌」だったと知ったのは小学5年生の春。母から「病院で一緒に遊んだ友達はみんな亡くなった」とも告げられました。ショックでした。「何故、私だけ生きている?」って考えて…。辿り着いたのが、私は何かを人に伝えなきゃいけない、だから生き残ったんだって、結論。
 音楽への道は不思議な程すんなり開けました。中学生の時、パソコンで本格的に曲作りを始めると、同じ趣味のクラスメートと仲良くなりました。全然テレビを見ないから知らなかったけれど、それがアイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバー(福田明日香さん)で。彼女から私の話を聞いた事務所の方にスカウトされました。シンガーソングライターのより子さん音楽活動を始めて暫くは「病気の子」っていうイメージではなく、「アーティスト」として自分を見て欲しくて、持て余していた物を、遣りたい様に表現するだけでした。 それが平成18年、「あれ?」と思う程お腹が張って。「メタボ?」かと運動したけど違う。体調も悪く病院に行くと、診断は「卵巣腫瘍」。医師には「99%、癌」と言われましたが、あの「真っ直ぐ立っていられない辛(つら)さ」じゃない。お腹に3kg近い水が貯まっていた物の、腫瘍は良性でした。
 手術後、ホルモンバランスが崩れ、鬱(うつ)状態で涙が出て辛かったけれど、「何も悲しくないのに人の体って凄い」と割り切りました。丁度母も更年期障害で、2人で「顔が火照るね」って(笑)。シンガーソングライターのより子さん

 癌の病魔は凄い。椅子に座ってるだけで体力を消耗しました。会話できない程 調子が悪い時もある。私もだったし、他の子がそうでも黙ってそっとしておく。病名も知らない子供だけれど、小児病棟の仲間とは独特の通じ合う物がありました。トランプやゲーム、お絵書きをして遊んだり、専門用語が飛び交うお医者さんごっこは今思えばシュール(笑)。入院生活は楽しく、2歳から5歳の間は病院が「わが家」。そんな生活が当たり前でした。シンガーソングライターのより子さん

 この手術を機に、私は生まれ変わりました。自己表現でしかなかった音楽活動を、これからは人の為に生かしたい。チャリティー活動で生き様を見せるのも、私がやるべき事だと。病気で針を刺されたり身を切られるのは痛い。けれど、病気が伝えるメッセージを受け取ると、生きている有り難みや、仕事の有り難みが分かるんです。今の私があるのはあの「素晴らしい経験」があったから。シンガーソングライターのより子さん

【プロフィル】より子

 よりこ 昭和59年、栃木県生まれ。シンガーソングライター。16歳から音楽活動を始め、自主制作アルバムに収録した楽曲「ほんとはね。」が注目を浴びる。平成17年、アルバム「Cocoon」でメジャーデビュー。今年発売のアルバム「記憶」の売り上げの一部は小児がん患者の支援活動をするNPOに寄付される。今月20日「TOKYO FMホール」でライブを開く。


希少難病患者を支援 京都にNPO法人設立SORDの活動にかかわる中学生らが中心になって企画した中岡亜希さん(中央)の講演会。「落ち込むこともあるけれど、前を向いて笑顔で生きていきたい」と語りかけた。左隣は小泉二郎さん=16日、京都市立加茂川中学校SORDの活動にかかわる中学生らが中心になって企画した中岡亜希さん(中央)の講演会。「落ち込むこともあるけれど、前を向いて笑顔で生きていきたい」と語りかけた。左隣は小泉二郎さん=16日、京都市立加茂川中学校
代表に就任した小泉さんは言う。「病名すらついていない希少難病がたくさんある。一つ一つの疾患の患者は少なくても、トータルでは何万人にもなり、大勢の人が苦しんでいる。見過ごせません」
 国は新年度、難病研究の予算を今年度の約4倍にあたる100億円に大幅増額する予定だ。「前進ではあるけれど、現行の難病制度には構造的な問題があると思う」と小泉さん。それぞれの疾患を専門に扱う研究者がいなければ、治療法の研究や薬の開発は行われず、患者は実質的には見放された状態にあるといえるからだ。今後、すべての希少疾患を対象とする研究機関の設置や新薬が作られやすい環境の整備などを国に働きかけていく。
 そして、孤立しがちな患者のために、同じ病気の患者同士が相談し合えるコミュニティーをウェブ上に設け、交流や患者会の結成を支援する。すでに30以上の希少疾患に関する情報が寄せられているといい、研究や臨床の場でも生かしてもらえるように疾患別のデータバンク化を進める。また、患者の「夢の実現」のサポートにも力を入れており、今夏には富士登山も計画している。
 「SORDの活動を通して、一人でも多くの人が希少難病の問題に関心をもってもらえたら」と中岡さんは話している。問い合わせはSORD、電話=075・491・5553。
【用語解説】特定疾患
 現在の国の難病対策は昭和47年に厚生省(当時)が纏めた「難病対策要綱」に基づいており、研究対象に123疾患が指定されている。このうち45疾患は医療費の助成がある。新年度から、先端巨大症等新たに7疾患が研究対象に追加指定される。

特定疾患治療研究事業対象疾患一覧表(56疾患)

疾病番号 疾患名 対象指定年度 01 ベーチェット病 昭和47年04月01日 02 多発性硬化症 昭和48年04月01日 03 重症筋無力症 昭和47年04月01日 04 全身性エリテマトーデス 昭和47年04月01日 05 スモン 昭和47年04月01日 06 再生不良性貧血 昭和48年04月01日 07 サルコイドーシス 昭和49年10月01日 08 筋萎縮性側索硬化症 昭和49年10月01日 09 強皮症 皮膚筋炎及び多発性筋炎 昭和49年10月01日 10 特発性血小板減少性紫斑病 昭和49年10月01日 11 結節性動脈周囲炎 昭和50年10月01日 (1)結節性多発動脈炎
(2)顕微鏡的多発血管炎 (1)昭和50年10月01日
(2)昭和50年10月01日
12 潰瘍性大腸炎 昭和50年10月01日 13 大動脈炎症候群 昭和50年10月01日 14 ビュルガー病(バージャー病) 昭和50年10月01日 15 天疱瘡 昭和50年10月01日 16 脊髄小脳変性症 昭和51年10月01日 17 クローン病 昭和51年10月01日 18 難治性肝炎のうち劇症肝炎 昭和51年10月01日 19 悪性関節リウマチ 昭和52年10月01日 20 パーキンソン病関連疾患 ※1 (1)進行性核上性麻痺
(2)大脳皮質基底核変性症
(3)パーキンソン病 (1)平成15年10月01日
(2)平成15年10月01日
(3)昭和53年10月01日
21 アミロイドーシス 昭和54年10月01日 22 後縦靱帯骨化症 昭和55年12月01日 23 ハンチントン病 昭和56年10月01日 24 モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症) 昭和57年01月01日 25 ウェゲナー肉芽腫症 昭和59年01月01日 26 特発性拡張型(うっ血型)心筋症 昭和60年01月01日 27 多系統萎縮症 ※2 (1)線条体黒質変性症
(2)オリーブ橋小脳萎縮症
(3)シャイ・ドレーガー症候群 (1)平成15年10月01日
(2)昭和51年10月01日
(3)昭和61年01月01日
28 表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型) 昭和62年01月01日 29 膿疱性乾癬 昭和63年01月01日 30 広範脊柱管狭窄症 昭和64年01月01日 31 原発性胆汁性肝硬変 平成02年01月01日 32 重症急性膵炎 平成03年01月01日 33 特発性大腿骨頭壊死症 平成04年01月01日 34 混合性結合組織病 平成05年01月01日 35 原発性免疫不全症候群 平成06年01月01日 36 特発性間質性肺炎 平成07年01月01日 37 網膜色素変性症 平成08年01月01日 38 プリオン病 (1)クロイツフェルト・ヤコブ病
(2)ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病
(3)致死性家族性不眠症 (1)平成09年01月01日
(2)平成14年06月01日
(3)平成14年06月01日
39 肺動脈性肺高血圧症 平成10年01月01日 40 神経線維腫症Ⅰ型 神経線維腫症II型 平成10年05月01日 41 亜急性硬化性全脳炎 平成10年12月01日 42 バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群 平成10年12月01日 43 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 平成10年12月01日 44 ライソゾーム病 (1)ライソゾーム病(ファブリー病を除く)
(2)ライソゾーム病(ファブリー病) (1)平成13年05月01日
(2)平成11年04月01日
45 副腎白質ジストロフィー 平成12年04月01日 46 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体) 平成21年10月1日 47 脊髄性筋萎縮症 平成21年10月1日 48 球脊髄性筋萎縮症 平成21年10月1日 49 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 平成21年10月1日 50 肥大型心筋症 平成21年10月1日 51 拘束型心筋症 平成21年10月1日 52 ミトコンドリア病 平成21年10月1日 53 リンパ脈管筋腫症(LAM) 平成21年10月1日 54 重症多形滲出性紅斑(急性期) 平成21年10月1日 55 黄色靭帯骨化症 平成21年10月1日 56 間脳下垂体機能障害  1.PRL分泌異常症
 2.ゴナドトロピン分泌異常症
 3.ADH分泌異常症
 4.下垂体性TSH分泌異常症
 5.クッシング病
 6.先端巨大症
 7.下垂体機能低下症 平成21年10月1日

注)平成21年10月より疾患番号46~56の11疾患が追加されました。

注)平成15年10月より

※1. パーキンソン病に進行性核上性麻痺及び大脳皮質基底核変性症を加え、「パーキンソン病関連疾患」と疾患名が変更されました。

※2. シャイ・ドレーガー症候群に線条体黒質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症(脊髄小脳変性症から移行)を加え、「多系統萎縮症」と疾患名が変更されました。

臨床調査研究分野の対象疾患 50音順索引







※目的である疾患の名称をご確認ください。 例)"りうまち""ら行"
※英略称の索引も可能です。 例)"PPH""ぴーぴーえいち""は行"