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よちよちぶらぶらチ~ンブログ

女性のカラダの変化~一生編

女性ホルモンに支配されている女性のカラダは、一生を通して変わります。自分が大体どこにいるかを知っておくことは、健康のためにもキレイのためにも非常に大事です。

CONTENTS
1
.思春期
2
.成熟期
3
.更年期
4
.閉経後

女性ホルモンの変化ロードマップ
女性ホルモンの変化

女性ホルモンの変化



女性のカラダの変化~月間編

女性のカラダは一ヶ月の間にダイナミックな変化を繰りかえしています。月間を通して女性ホルモンがどうやって動くのか、そもそも女性に知っておいて頂きたいホルモンとは何?ということ、繊細なホルモンバランスについてお話いたします。

ホルモンってなあに?

月経不順は『ホルモンバランスの崩れから』と言うけれど、ホルモンバランスって何?月経不順は「ホルモンバランスの崩れから」と言うけれど、ホルモンバランスって何?

んとなくホルモンっていうと、実体のない臭いみたいなものというイメージがありますが、これはしっかりした物質です。

身体の中で作られ、体内の関係を調節したりコントロールしたりするはたらきがあります。(だから、よく食品にでてくる成分は「...ホルモン<類似>物質」と書いてあるのですね。)

血液で運ばれて標的の臓器に働きかけます。イメージとしては、郵便物が特定のポストに取りこまれる感じですね。


ホルモンにはどんな種類があるのでしょう?

身体の中を一定に保つためにはいろんなホルモンが働いています。たとえばよくしられたところで言うと「成長ホルモン」。これは寝ている間によく分泌されることでも有名です。「寝る子は育つ」というのは医学的にもホントです。

ちなみに、体内にはたくさんのホルモンがあるのですが、これの多くを制御するのが脳の中の「視床下部」と「下垂体」と呼ばれる場所なのです。


女性ホルモンのコントロール


ホルモンは視床下部・下垂体と卵巣とのやりとりでバランスが決まりますホルモンは視床下部・下垂体と卵巣とのやりとりでバランスが決まります

女性ホルモンとして有名なのは、卵巣でつくられる

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

の2つ。

そしてこの2つの分泌をコントロールするのが脳のなかにある

  • 視床下部
  • 下垂体

ここから卵巣に「このホルモンを出してください」と指令がいくと卵巣からホルモンが出るわけです。で、この卵巣への指令はどんな形で行くかというと、これもやっぱり「ホルモン」というお手紙が届くのですね。

結局、女性の「ホルモンバランス」っていうのは『視床下部』と『下垂体』と『卵巣』とのあいだでやりとりされるお手紙の流れがうまくいっているかということです。ややこしいですね。

女性ホルモン~エストロゲンとプロゲステロン

エストロゲンとプロゲステロンエストロゲンとプロゲステロン

右の図をご覧ください。エストロゲンは二峰性で、排卵前と月経前に多くなります。ただ、月経前はプロゲステロンが多くなるので、その影響が目立ちます。

この二つのホルモンのバランスが一ヶ月を通してうまくいくことによって、女性のカラダは初めてスムーズに回っていることになるのです。


ホルモンバランスが崩れる理由

それでは、具体的に「視床下部」と「下垂体」と「卵巣」とのやり取りが上手くいかなくなり、ホルモンバランスが崩れてしまう時はどんな時なのでしょうか?

■原因1:ストレスやダイエット
女性ホルモンを分泌させる視床下部は同時に自律神経のコントロールもしているので、ストレスの影響を強く受けてしまいます。このしくみはとっても微妙で繊細なので、下手をすると自分では意識できないくらいのことも多いと思います。

例えば、『生理がくるはずだったのに、旅行中はこなかった』なんて経験ありませんか?月経リズムはホントに些細なことにでも影響されてしまうのですね。不規則な生活や睡眠不足、過度なダイエットなどもホルモンバランスを崩す原因になります。できるだけバランスのとれた食事、規則正しい生活、睡眠を心がけましょうね。

■原因2:更年期、思春期
ホルモンバランスが乱れる時期が一生で女性には2回あります。

ひとつは思春期。思春期はまだ身体がホルモンバランスをうまく一定化できないので月経周期が乱れたりしてしまいます。そしてもう一つは更年期。更年期は卵巣からの女性ホルモンの分泌量が減る過程でからだが混乱してしまいます。更年期でイライラ、めまい、ほてりなどの不定愁訴が現れるのは、少なくなった女性ホルモンを察知して脳の司令塔(視床下部)が頑張ってしまって、その結果かえって逆に自律神経のコンロトールがうまく行かなくなるからとも言われています.
この時期にいるときは、逆にそういうものだと思って、ゆったり過ごすようにしましょう。


女性ホルモンの分泌量は一生で変化します。上の図をごらんください。

横軸が年齢、縦軸が女性ホルモンの分泌量です。
女性ホルモンの分泌量からライフサイクルを3つ~4つにわけて考えるやり方が一般的。一つ一つ見てゆきましょう。

1
.思春期 10代~20代前半
女性ホルモンの分泌量がだんだん多くなってゆきますが、まだ不安定。この時期に多い悩みは

・月経異常(量が多い、少ない、期間が長い、短い、無月経など)
PMS(月経前症候群)

などです。

この時期の女性の悩みの多くは、まだ子宮が発育しきっていなかったり、女性ホルモンが安定しないことでおこると考えるとわかりやすいと思います。たとえば、10代でひどい生理痛があったのに、20代後半になったら楽になってきたなんて経験、ある方も多いのではないでしょうか。

また、この時期は将来のカラダの基本となる時期。過剰なダイエットなどは将来の骨粗鬆症の原因となったりします。カラダの基礎を作る時期と考えて、大事にしてくださいね。

2.
成熟期 20代後半~40代前半
女性ホルモンの量も安定してきて、月経も規則的になります。大体このあたりで妊娠・出産を含めた家族計画を考えることが多い世代です(女性ホルモンの分泌のピークは30代前半と考えられています)。

と同時に、エストロゲン依存性といわれる女性特有の病気を頭のどこかにいれておかないといけない世代です。具体的に言うと、子宮筋腫、子宮内膜症、乳がんなどですね。考え方としては、女性ホルモンが安定しているはずなのに、だんだんひどくなる月経痛などは、一回その他の原因を考えたほうが良いということになりますよね。

また、キャリアとプライベートの両立でカラダを壊しやすい時期。うまくコントロールしてゆきましょう。

3.
更年期 40代後半~50
女性ホルモンの量が一気に減ることによって様々な症状が起こります。

更年期障害というのは、50歳くらいになって、卵巣の機能が衰えることによって、体の中の卵胞ホルモン(エストロゲン)が減ることによっておこります。閉経が近づくと卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)の量が減りますが、体はけなげに、この変化に何とかついてゆこうと頑張ります。つまり、脳は『エストロゲンを出しなさい』という指令を出しつづけようとするのです。ところが、そもそもの卵巣の機能が衰えているので、頑張ってもエストロゲンは増えません。

すると、この過程でからだが混乱してしまいます(特に女性ホルモンの脳の司令塔(視床下部)は自律神経のコントロールにも関わっているので、いわゆる『自律神経失調状態』の症状が強く出るといわれています)。このとき表れる症状が一般に『更年期障害』と呼ばれているものです。主なものとしては、イライラ、めまい、ほてり、のぼせ、動悸、息切れ、汗をかきやすい、不眠、情緒不安定などです。

また、ひきつづき女性特有の病気、特にがんに対する注意も必要です。さらに、いわゆる生活習慣病も気をつけないといけない世代ですね。最近は介護の問題などもあり、精神的にも落ち込みやすい時期。ここもうまく乗り切りたいものですね。

閉経後

女性ホルモンの量が減ることによって、

・骨粗鬆症(女性ホルモンは骨量を保つ働きがある)
・脳梗塞、心筋梗塞など血管の病気のリスクの増加(女性ホルモンは血中の脂質を下げる働きがある)
・アルツハイマー病(女性ホルモンとの関係がいわれている)
・萎縮性膣炎(膣の粘膜が萎縮して膣が弱くなり、すぐ出血したりひりひりしたりする)

といった症状がおこります。

平均寿命が男性よりも長い女性は、パートナーがいたとしても、将来1人で生きてゆかなければいけない可能性が高くなります。できるだけ、健康で自律した生活を長く続けたいものですよね。

気をつけたい女性の病気

女性として知っておきたい婦人科系の病気。基礎知識をおさえておきましょう!カラダが変...と思ったら迷わず病院で相談を。女性として知っておきたい婦人科系の病気。基礎知識をおさえておきましょう! カラダが変...と思ったら迷わず病院で相談を。

忙しくてついつい見逃してしまうことの多い女性の病気。女性が社会に進出したり、また妊娠・出産回数が減ったりすることによって女性特有の病気の内訳もだんだん変わってきているのです。たとえば<b>乳がん</b>患者さんの数は1970年代の約3倍。その死亡数はなんと年間1万人にも上ります。

30歳をすぎたら体のメインテナンスに気を使いましょう。今回は気をつけたい女性の病気特集です。

年々ひどくなる生理痛が特徴
子宮内膜症

子宮内膜ってココのこと!子宮内膜ってココのこと!

子宮内膜症という病気を簡単に解説すると「子宮内膜という子宮の内腔を覆っている赤ちゃんのためのベッドとなる膜が、子宮の中以外で増えてしまう病気」です。

一番多いのは30代の女性ですが、20代くらいから注意が必要になります。 月経のある女性のうち10人に1人は子宮内膜症とも言われています。

エストロゲン(女性ホルモン)依存性の病気なので、月経がある数が多ければ多いほど(つまり妊娠・出産が減り、初潮年齢が早くなるほど)発育してしまいます。ですから、患者数も急増、そして若年化中。なんと昭和40年代に比べると患者数は3倍にも増えているといわれています、

また、環境ホルモン(ダイオキシン)の影響もいわれています。(ダイオキシンは体のなかで女性ホルモンと似た働きをするので子宮内膜症が増える原因になるといわれているのです。)

年々ひどくなる生理痛」が一番の特徴です。 9割のヒトに月経痛があるといわれます。鎮痛剤が効かなくなるほどひどくなることもあります。また、「性交痛」「不妊」なども特徴です。ちなみに卵巣にできてしまった子宮内膜症をチョコレートのう腫とも言います。これは、毎月の生理のたびに出血して卵巣内にたまってしまった血がちょうど溶かしたチョコレートのような袋状のもの(=のう腫)に見えるので「チョコレートのう腫」。

子宮にコブができてしまう
子宮筋腫

子宮筋腫はこんなイメージ!子宮にできる"コブ"です
子宮内膜はこんなイメージ!子宮にできる"コブです"
子宮内膜症と並んで「ひどい月経痛」をおこす原因疾患の代表選手が「子宮筋腫」。とっても簡単に言ってしまうとコレは「子宮の内外にできる良性のコブ(=腫瘍)」です。良性なので命にはかかわりませんのでひとまずご安心ください。でもなんと、30代女性の4人に1人が子宮筋腫をもっているといわれます。

本来なら無いものがあるので、「コブ」がある場所によって、いろいろな症状を引き起こします。「ひどい月経痛」「月経血の量が多い」「貧血」などが代表的な症状。でも、あまり症状のないこともあります。子宮筋腫の大きさは大豆くらいの小さいものから大人の頭になるくらいまで(!)大きさはまちまち、数も1個から20個くらいまでと様々です。

ちなみに子宮筋腫もエストロゲン依存性です。ですから、子宮内膜症との合併も多く、子宮内膜症の4~5割に子宮筋腫が合併しています。なんともツライお話ですね。

治療は大きく分けると手術をしない方法(経過観察、ホルモン療法)と手術がありますが、これはケース・バイ・ケース。なので、お医者さんとよく相談してください。

肥満気味、妊娠・出産未経験者は要注意
乳がん

これもまたエストロゲン依存性の病気です。エストロゲンは女性ホルモンで大変重要なホルモンなのですが、こう書いてくるとだんだん悪者の気がしてきましたね。ちなみにそういうわけでもないのです。ただ単に、現代女性は今までよりもエストロゲンにさらされる時間が増えているので、エストロゲンがあると多くなる病気が増えているだけのお話です。

そんなわけで、乳がんも急増中です。年齢的には40~50代がピークですが30代から検診が望ましいですね。

乳がんになりやすい人は「肥満」「家族に乳がんの人がいる」「エストロゲンにさらされている期間が長い(初潮年齢が早い、妊娠・出産回数が無い、少ない)」など。

30歳を過ぎたら定期検診をこころがけてくださいね。

卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまう
卵巣嚢腫

卵巣嚢腫はこんなイメージ!
卵巣嚢腫はこんなイメージ!
20代から要注意の「沈黙の臓器」卵巣の病気。進行するまで分かりにくいのが特徴ですが、「ひどい生理痛」「なんとなくお腹が重い」「腰痛」などの症状をおこすこともあります。

右のイラストを見てください。向かって右側が正常な卵巣。左側が卵巣嚢腫のある卵巣です。卵巣嚢腫とは「卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまうもの」で、イメージとしては、ぶよぶよした水風船みたいなものですね。たまる液体の種類によって皮様のう腫、偽ムチンのう腫、しょう液性のう腫の3種類に分けられます。

治療は、大きく分けて経過観察と手術の2通りですが、大雑把に言って、鶏の卵以上くらいの大きさになると手術することが多いようです。
ちなみに卵巣嚢腫の早期発見には、検診が一番になります。

年齢に関わらず性体験があるヒトは要注意
子宮頸がん

子宮の入り口にできる癌が子宮頚癌
子宮の入り口にできる癌が子宮頚癌

子宮には頚部と体部があります。入り口の部分にできるのが子宮「頚」がん。もともと日本人は子宮頚癌のほうが多く、子宮頚癌と子宮体癌の割合は9:1くらいでした。ところが最近は子宮体癌がだんだん増えてきています。

子宮頚癌は40歳代に最も多い(40%くらい)のですが、たとえ10代でも安心はしていられないのです。

なぜかといいますと、子宮頚癌を引きおこす原因にヒトパピローマウイルス(HPV)というイボをつくるウイルスの一種がかかわっている可能性が高いからなのです。

そして、HPVは性交渉によって感染するといわれているので、性体験があるヒトはだれでも年齢に関わらず要注意になります。ちなみに子宮頚癌はいままで取り上げてきた病気と違って、「出産回数が多い」ほうがなりやすいのも特徴です。あとは「性体験の回数が多い」ヒトも注意が必要です。

ちなみに病気が進行すると「不正出血(生理でもないのに血が出る」「性交渉のあとに血が出る」なんてことがありますが、最初は無症状。

癌を発見するためにはめん棒やブラシで子宮頚部を軽くこすって、癌細胞がいないかどうかたしかめる「細胞診」という簡単な検査があります。痛くないので麻酔も要らない簡単な検査です。企業だと健康診断に入っていることもありますが、産婦人科だったらどこでも大丈夫です。1年に1回は受けましょう

またHPVに感染しているかどうかはおりものをしらべる検査(保険適応外ですが)があります。

癌が進行すれば、それだけ子宮や回りの臓器を広く手術でとらなければならなくなるため、早期発見が重要です。

*1厚生省心身障害研究:リプロプロダクティブヘルスからみた子宮内膜症の実態と対策に関する研究
参考文献 婦人科学 第9版 (金芳堂 杉山 陽一著)