今回は、自作のみ。

 
やや呪術的な意味を隠して、詠む星の歌。
 
 
  光無き世とぞ嘆くやその人の見上げし空の黒さ果てなく
(ひかりなきよとぞなげくやそのひとのみあげしそらのくろさはてなく)
 
 
  夜を恨み侘し待つのみ生きたるは星の意味すら知らずに過ごす
(よをうらみわびしまつのみいきたるはほしのいみすらしらずにすごす)
 
 
 
  アルフォンス・ミュシャ  《タロットカード 星》
 
 
 
ある人の日記の姿を見て、詠む
 
  ゆふづつの夕べ誓ひし姿身に思ひ叶へと疼き願はむ
(ゆふづつのゆうべちかひしすがたみにおもひかなへとうづきねがはむ)
 
※ゆふづつ(夕づつ星)=金星
 
 
  甚だし煌めく星は数多なり見つめる先の月も耀く
(はなはだしきらめくほしはあまたなりみつめるさきのつきもかゞやく)
 
 
 ドロシー・ラスロップ 《Down-Adown-Derry》
 
 
 
中秋の名月を、詠む。
 
  水神は嬉しがるかや懐に抱きて映す今宵望月
(みなかみはうれしがるかやふところにいだきてうつすこよひもちづき)
 
 
アイダ・レントゥール・アウスウェイト 《Children in a starry sky》
 
 
五星(木・金・火・水・土)を、詠む。
 
  雲居晴れ歳星頭上に輝けり秋に移りし実は重くなり
(くもゐはれさいぼしづじょうにかゞやけりあきにうつりしみはおもくなり)
 
 ※歳星=木星
 
 
  夕つきて西に耀よふ太白のまことの意味を人は知らぬや
(ゆふつきてにしにかゞよふたいはくのまことのいみをひとはしらぬや)
 
 ※太白=金星
 
 
  赤金の熒惑星は際高に力猛りて吾を動かす
(あかがねのけいこくせいはきはだかにちからたけりてわれをうごかす)
 
 ※熒惑星=火星
 
 
  逸り雄は辰星見上げ御佩刀を金打ちたりて共に鳴るかな
(はやりをはしんせいみあげみはかしをかねうちたりてともになるかな)
 
 ※辰星=水星
 
 
 八十隈を越えて新たな道の苦の標無き世ぞ鎮星いづこ
(やそくまをこえてあらたなみちのくのしるべなきよぞちんせいいづこ)
 
 ※鎮星=土星
 
 
 
J.J.グランヴィル  《『もう一つの世界』より「流星の大旅行」》