「はい、おしまい。それでは一番後ろの人は順番に前の人の答案を集めて持ってきて」
その声とともに、落胆の悲鳴や歓喜の声がそこらじゅうからあがった。
「やっと終わった。これでもうしばらくは毎晩のテスト勉強から開放されるね」
貴子は斜め後ろの席の由香里に向かって言った。
「そうだね。これでテスト期間中に撮り溜めていたビデオが見れるよ。もう徹夜でみてやろうかな」
由香里は貴子に笑って答えた。
「今日はこれでおしまいだから、帰りにカラオケでも行って発散してこうか」
貴子はそう言って帰りの仕度をした。
「それがいいね。みんなを誘って大いに騒ごう」
由香里は貴子の提案に賛成し仲良し仲間に声をかけて、終礼後に大人数でカラオケへと繰り出したのだ。
みんなで大いに歌い騒ぎ疲れそれぞれの家路とかえる途中、二人きりになった貴子と由香里はこれから迎える夏休みの話題に話が及んだ。
「ねぇ、夏休みはどうするの」
と貴子が由香里に聞いた。
「まだ決まってないけど、8月には家族で旅行に行くみたい。貴子はどうするの」
「ウチもまだ全然未定。田舎でもあればお盆に帰るのだろけど、家は両親共に東京だから田舎ないし」
「だよね。
そうだ、どこかで一日ディスニーシーに行こうよ。ウチ、ダッフィー欲しぃ」
由香里は鞄をダッフィーに見立ててぎゅっと抱きしめて言った。
「あっそれいいね。ウチもダッフィーのストラップがほしぃ。それじゃまた今日のメンバーで計画たてようね」
貴子は何か嬉しくなってウキウキしてきた。
夏休みに何か一つでも楽しみな予定があると、もう夏休み全体がキラキラ輝いて感じてくるのだ。
「そういえば、体操部って夏休みにも練習日があるらしいね」
由香里はうっかり忘れてたとばかりに貴子にそう言った。
「あぁ、そうだった。
小学校ではそんなこと無かったのに、やっぱり中学になると夏休みの計画立てるのも大変だなぁ。
それに他のみんなも予定あるだろうから、また明日学校で相談してみようね」
そんな他愛無い会話をしながら貴子と由香里は家路を帰っていった。
由香里と別れた貴子は夏休みの部活を想像していた。
長い夏休みの間に部活だけのために学校に行くこと。そしてそこでは学先輩に合えること。
『それもまた嬉しいかも』
貴子はそう思い、夏休みが更に輝いてくるのを感じていた。
《つづく》
ここまで読んできてくれたみなさん、どうもありがとうございます。
なんだか前振りに5話もかかってしました(笑)
さて、次回よりやっとタイトルの『ベンチ』にまつわる話へと入っていきます。
あと4話、どうかもうしばらくお付き合いください┌(_ _)┐