特にダメージが多くミスしやすいポイント 慣れていない新人税理士・事務員
1.未分割の場合  「申告期限後3年以内の分割見込み書」
未分割の場合は、配偶者控除と小規模宅地の特例が使えず、一旦全部納税しなくてはいけない。
司法統計年報によると、家庭裁判所の遺産分割による紛争は、遺産が5,000万円以下の場合に7割を超え、1,000万円以下でも3割を占めます。典型例は、実家となる不動産とわずかな金融遺産で、特に不動産は公正に分割できないことが争いの原因となっています。

このクラスは、3000万円の基礎控除と1人600万円の3人=4800万円
平成25年3月10日の相続なら相続税申告期限は、平成26年1月10日
で相続人は安堵して3年後の平成29年1月10日までは、ほとんど何も解決しないケースが多い。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4208_qa.htm
相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において相続等に関する訴えが提起されているなど一定のやむを得ない事情がある場合において、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、その申請につき所轄税務署長の承認を受けた場合
平成29年1月10日以前では提出できず平成29年1月11日から2月経過の平成29年3月11日までのラストチャンス。1日遅れてもダメ。
しかし、纏まらない時は更正の請求もダメになる。
しかし一見の客の期限管理ミスや、遠方の相続人に連絡つかないときも税理士の責任とされかねない。更正できない怒りをぶつけられてしまう。
回避方法は、相続税申告期限は、平成26年1月10日文章で上記リスクと説明し確認の署名押印を貰って手離することしかないだろう。
3年後に一見の客では期限管理できない。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/1585-01.htm
この2月の期間で遺産分割裁判などであれば、まだ延長可能となる。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/pdf/1585-01.pdf

2.相続税の2割加算  一番ミス連発 怖い
相続税法第18条 相続税額の加算
 相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族及び配偶者以外の者である場合には、その者に係る相続税額は算出した金額に百分の二十を加算した金額とする。
民法とズレ・・・・・・・・これが単純ミスとなる
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4132.htm
相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。
(1) 相続人の範囲 死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位 死亡した人の子供
 その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

孫や長男の妻などは、法定相続人でないから意識しやすいが、兄弟姉妹は法定相続人だからと、2割加算をうっかり忘れるミスが多い。
また、妻と兄弟姉妹の場合は、当然揉めるし、未分割の場合ともなり、ミスが誘発される。

こういう相続税申告書を提出すれば、直ぐに2-3日で税務署の資産税部門から「●田先生~~(甘い声)ところで先日の相続税の申告書ベテランの先生らしくもなく2割加算を忘れてますよ~~~~」と勝ち誇ったような美人の可愛い新人女性調査官から有難い連絡(これは修正申告書の慫慂か?)が来る。
兄弟姉妹へ慌てて連絡すると、「修正申告書には、もうハンコは押せない」「先生のミスだから払っておいてくれ」「もう金は使ったので無い」「孫へ全部贈与したのでない」「あんたが勝手に払っておいてくれ」「あの兄弟姉妹には二度と関わりたくない」とか拒否され散々イヤミをいわれる。
金額も半端でなく些少でない。税理士報酬などの何十倍何百倍のダメージ。
税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからないが、素直に修正申告書にハンコは押さない。
新たに納めることになった税金の20%相当額や延滞金も税理士の負担?
頼りの税理士損害賠償は、損害賠償請求をしないと適用できない。

養子は法律上、実子と同様の地位をもつため、一親等の血族に該当するが、養子のうち直系卑属(孫、曾孫など)は2割加算の対象となっている。
孫に相続・遺贈した場合、税負担を1回免れることになる事への調整である。
こんな理由から、この2割加算の条文がある。
これも民法と税法の差異である。
相続税法第18条 相続税額の加算
 相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族
及び配偶者以外の者である場合には、その者に係る相続税額は算出
した金額に百分の二十を加算した金額とする。
2 前項の一親等の血族には、被相続人の直系卑族が当該被相続人
 の養子となっている場合を含まないものとする。

(縁組による親族関係の発生)
民法第727条
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
子の妻(夫)が養子なら対象外で2割加算は無い。

3.弁護士や司法書士が仕事を欲しいので、先行し法定持分で登記
税務上、遺産分割のやり直しは、遺産分割とはみなされず、譲渡・交換・贈与として課税を受ける。登記を先行して入れている場合に、遺産分割のやり直しと認定されれば、課税されるリスクがある。法律家は、何度でも遺産分割のやり直しできると教えられている。
そのズレがある。
民法上は、特に定めがないので、第三者の権利を害しない場合、何度でも遺産分割のやり直しが効くものとされている。
相続税法では、相続があったことを知った翌日から10ヶ月以内に申告することとされていることから、その期日以後の分割協議のやり直しは、主に贈与として取り扱われる。
ただし、贈与税の申告期限までに、錯誤登記として正しい相続人を登記名義人とできたときは、一定の条件下で認められることがあるが、要件は厳格なので、理由付け等に工夫がいるとともに、事実認定で認められることが何よりも必要である。
なんで法律家のミスを税理士が拭わないといけないのか????
① 贈与契約の取消しや解除が、贈与した年の贈与税の申告期限までに行われ、その取消し等が登記名義の変更などで確認できること。
② 贈与した財産が贈与を受けた人により売却されたり担保物件とされたり等処分をされていないこと。
③ 贈与契約に係る財産につき、贈与した人や贈与を受けた人が税金の申告・届出をしていないこと。
④ 贈与を受けた人が贈与を受けた財産の果実(家賃や地代)を収受していないこと。また収受している場合は、その果実を贈与した人に引渡していること。

これは「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」通達の運用について」という
国税庁通達の4項で明らかにされている。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sozoku/640523/01.htm

4.相次相続控除わすれ
相続開始時10年以内に被相続人が、相続等で取得し納税していた場合に一定額を控除を出来るのを忘れる。

(第2次相続に係る被相続人の範囲)
20-4 法第20条の規定は、第2次相続に係る被相続人がその相続の開始前10年以内に開始した相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。)によって取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額について適用があるのであって、第2次相続に係る被相続人の被相続人が納付した相続税額については適用がないのであるから留意する。(平15課資2-1改正)
10年前の相続が、あるかは、誰も相続人などは、覚えていない。
しかし、主流から弾かれた兄弟姉妹は、知り合いの税理士へセコンドオピニオンを求め主流派のミスを追求し全体の無効を企む。
「あーこれは、数次相続を忘れてますね・・ドシロウトの新米みたいなミスの初歩の基礎もない●田税理士さんですね・・」
「他にもいっぱいミス有りますよね」
「損害を税理士さんへ請求して追求して遺産分割のやり直しも出来ますよ」など言われる。
だから戸籍謄本で10年以内の死亡が有るかどうか確認しないといけない。
確認としては相続人の方々等への聞き取りが中心である。
該当するような相続の有無については相続財産中の不動産の場合は登記事項証明書で確認もできる。
甲区の権利者その他の事項における所有権移転の原因(相続・遺贈・遺留分減殺等)と日付で確認する。

5.遺言書の真贋=公正証書で安心してはダメ
自筆遺言証書では、自分に不利な相続人があれば、必ず地方裁判所へ
「遺言状真贋裁判」が提起される。
不利な相続人は「痴呆で書けない」「あの字は親父のでない。綺麗すぎる」「書ける状態でなかった」などあらゆる難癖を付け筆跡鑑定人まで出てくる騒ぎとなる。

そうなれば、分割などできない状態となる。
その中に遺言執行者として税理士などが、指定されているからと安心して家庭裁判所で検認してもらい、分割して申告していると、
裁判の結果で相続税の負担が増加する場合がある。
さらに、公正証書遺言でも安心できず、「あのとき親父はボケていた」「後見相当だった」などありとあらゆる難癖を付け「遺言無効確認の訴訟」まで提起が、ありえる。遺言書の不利な相続人や遺留分しか貰えない相続人は、一生に一度の財産獲得の機会を逃すはずがない。
不利と思う相続人は、多く貰った兄弟姉妹へのジェラシーの炎が燃え上がり10年以上の訴訟で骨肉の争いさえ起こる。


6.法定相続人が大金持ちの気の強い美人の若い未亡人の配偶者しか居ない場合
法人顧問の税理士先生に大金持ちの気の強い美人の若い未亡人の奥様から「●田先生、ワタクシの相続財産は概算で100億円ですが、イケメンの若い
司法書士の先生に聞きますとワタクシしか相続人はなく、相続税は掛からないと聞いたのですが??」と電話がある。
(なんで司法書士なんだ?)と思いつつ
「あー奥様、その通りですよ。相続税は法定持ち分100%か1億6千万まで掛かりません」と答えると
「先生失礼じゃ有りませんか。当社の長年の顧問でしょう。1億6千万なんかはした金ではありませんよ」と電話を怒られる。
さらに、「もし先生に相続の申告の代理をお願いしたらおいくら位かしら?」
と尋ねられたとき、相当な不動産評価や株式評価もあるので
「不動産の調査もありますし、100億円の0.2%くらいで特にお安くしますよ」と答えたら
「まー 2000万円も取るの??失礼じゃありませんか」と怒られて電話で怒られ、うなだれる。

その後音沙汰無いので、他の大手の税理士法人で申告したのかと残念な気持ちで相続の申告の依頼無いと諦めていると、その10月後に突然に
「先生・・・ヒドイじゃありませんか?この大嘘つき!!」
「税務署からいきなりの電話で、税金0円でも相続税は申告しないと配偶者の軽減特例は受けられないと言うじゃありませんか」
「●田先生は。当社の顧問税理士でしょう。全部の責任を取ってくださいね!!!」と怒られる。
??100億円の50%の税率の相続税・・あと不申告加算税も。
税理士損害賠償でカバーできるのかな???

7.農地の納税猶予期間中忘れ 3年に1回

武蔵野や立川では、農地が多いが、3年ごとに出すのを失念し、特例が全部打ち切りになり納税となる事がある。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4147.htm
(2) 納税猶予期間中の継続届出
 納税猶予期間中は相続税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書(この届出書を「継続届出書」といいます。)を提出することが必要です。


ほとんど民法と税法のズレである。。
全てを俯瞰し(会社法>民法>税法&相続関係者の心情)対策して事業承継での遺産分割争い回避(ジェラシー・兄弟喧嘩・兄弟姉妹の配偶者)と会社支配権の確率を設計していく。

8. 非嫡出子の民法と相続税の取り扱いの差
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/saikosai_20130904/index.htm
最高裁判所が違憲と判断をしたのは、民法900条4号ただし書きの規定である。
相続税はまず最初に、民法が規定する法定相続分の通りに各相続人が遺産を取得したものと仮定して、各相続人の取得価額に応じた税率にて各人の相続税額を算出し、相続人全員に係る相続税の総額を算出する。
その相続税の総額を各相続人が実際に取得した遺産の割合に応じて按分し、各相続人が納める相続税額を算出する仕組みになっている。
非嫡出子の法定相続分が、非嫡出子がいる相続の場合、相続税の総額の計算に用いる法定相続分も変更になり、場合によっては相続税の総額が変わるケースが出てくる。
それ以上に問題なのは、民法がまだ改正されていないので、民法の分割と
税法の処理の差で、再度遺産分割争いが勃発しうる。
非嫡出子にしてみれば、正当に扱われていない思いがココで爆発する。

9.会社への貸付=会社の借入金忘れ。 会社は長らく休眠で債務超過
オーナー社長と言っても有限会社で資本金300万円
長期デフレで、売上低迷でオーナー社長は、ドンドン貸付していた。
その額1億円万円しかし、その相当の青色申告での繰越損失金が1億円あり
10年も休眠で気が付くはずがない。
しかしさすがKSK。税務署の資産税部門の若い美人の調査官から
「先生~~~~。会社への貸付金漏れていますよ。顧問税理士をされていたんでしょう。知らないはず有りませんよね。」と一撃。
「すいません。・・・あの法人担当のスタッフは10年前に辞めていて、長らく休眠していたので忘れていました」と謝っても許してくれない。
10年で民事時効ではと思うが、何らの手続きも取れていない上に、貸借対照表に計上あるのでどうしようもない。
「先生、これは、仮装隠蔽だと本税に重加算税で・・」と頭に来る発言を
繰り返す調査官。
税理士として遺族に払ってくれと言える勇気があるのだろうか?

オーナーの借地権で自然発生借地権も忘れやすい。
(1)法人の支払っている地代の有無・程度に関係なく、土地の譲渡対価の額に、相続税財産評価の際に適用する借地権割合を乗じて計算する方法
(2)法人税基本通達13-1-15(2)に準じ
(譲渡対価の額)×{1-(実際に支払っている地代(年額))/(相当の地代(年額))}
を借地権価額とする方法
(3)(1)と(2)の折衷案とする方法、すなわち
(譲渡した土地等の相続税評価額)×{1-(実際に支払っている地代(年額))/(相当の地代(年額))}=相続税評価上の借地権価額
(相続税評価上の借地権価額)/(譲渡した土地の相続税評価額)=借地権割合
により、(1)と(3)、(2)と(3)を比較し、いずれか小さいほうとする方法
(4)昭和60年直資2-58通達に準ずる方法
(譲渡した土地等の相続税評価額)×{借地権割合×{1-{(実際に支払っている地代(年額))-(通常の地代(年額))}/{(相当の地代(年額))-(通常の地代(年額))}}}=相続税評価上の借地権価額
(5)近隣の取引事例を斟酌して決定する方法

10.金銭債権 借入金
裁判上では、金融機関の関係の預金・借入金は法定持ち分で当然分割されるので、遺産分割の対象では無い。
現金は遺産分割の対象ではない。

税務署のKSKへ問い合わせする事項
1.歴年贈与の贈与税額
2.精算課税制度適用財産の贈与税額
3.数次相続控除
4.その他の特例や情報開示
5.会社との取引関係=貸付 借地権 借地権者の地位に変更なき旨の届け
6.買換特例


11.広大地が適用後、即時売却
相続財産は相続開始費の現況で評価
平成17年12月15日裁決 マンション 否認
平成24年7月4日裁決 7階マンションで否認
平成25年2月27日裁決 敷延で宅地売却 開発道路なし 否認
しかしマンション用地や敷延の時広大地評価が否認される危険
税務調査まで待って売らないとリスクあるもの

12.土地売却価格で相続税申告
路線価より低い価格で売却の場合の可能性

13.添付書類のミス 手分けて申告したミス
鉛筆メモ・・・消さずに秘密のまま提出
土地の実測図 縄延び公図 公簿

14.重加算税の分かれ目
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sozoku/000703-2/01.htm
「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
[平成12年7月3日 課資 2-263]
第1 賦課基準
通則法第68条第1項又は第2項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」とは、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。
1 相続税関係
(5) 相続人等が、その取得した課税財産について、例えば、被相続人の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと若しくは遠隔地にあったこと又は架空の債務がつくられてあったこと等を認識し、その状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと又は債務として申告していること。
=相続人の地位・職業・学歴なども考慮VS主婦などは分からないから ok?
海外預金などは遠隔地にあったことで重加算税となり易い
田舎の国税局の意識東京国税局はお上意識はないが
関東信越国税局などではお上意識あるので重加算税を出しやすい

重加算税では配偶者の税額軽減が使えない
さらに重加算税の場合に。それに対応する本税は延滞税の除算期間の対象とも成らない
単純な計上漏れの場合1.延滞税
納期限の翌日から修正申告の日まで 年2.9%(平成26年現在)
単純な計上漏れの場合の計算期間は、最長1年間=調査の時期で不公平を防ぐ

配偶者が隠した仮装隠蔽の場合に子供へ遺産を渡せばダメージが少ない
子供は仮装隠蔽していない。
遺産分割や遺言書で「その余の財産が見つかれば妻に相続させる」はダメ
遺産分割で発見財産に付いては書かないのが安全=新たな遺産分割で

15.直前の養子は危ない=3年は準備
租税回避で死亡前2週間の養子縁組届や痴呆のはずの養子縁組届
相続税法(相続人の数に算入される養子の数の否認)
第六十三条  第十五条第二項各号に掲げる場合において当該各号に定める養子の数を同項の相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)及び相続税額を計算することができる。

16.直前の不動産購入・売却
誰の意思で取引か?
売買契約中は売買代金請求権で相続税法評価でない=小規模宅地はダメ
購入の場合も購入価格=相続税評価額でもOK
建築中なら小規模宅地の適用OK 
租税特別措置法通達69の4-8
(居住用建物の建築中等に相続が開始した場合)
69の4-8 被相続人等の居住の用に供されると認められる建物(被相続人又は被相続人の親族の所有に係るものに限る。)の建築中に、又は当該建物の取得後被相続人等が居住の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合には、当該建物の敷地の用に供されていた宅地等が居住用宅地等に当たるかどうか及び居住用宅地等の部分については、69の4-5((事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合))に準じて取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)
(注) 上記の取扱いは、相続の開始の直前において被相続人等が自己の居住の用に供している建物(被相続人等の居住の用に供されると認められる建物の建築中等に限り一時的に居住の用に供していたにすぎないと認められる建物を除く。)を所有していなかった場合に限り適用があるのであるから留意する。

17.3年以内の資産取得 直前の会社資産内容の変更

財産評価|法令解釈通達|国税庁
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/08/04.htm#a-185
第8章 その他の財産第1節 株式及び出資(純資産価額)
185 179((取引相場のない株式の評価の原則))の「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」は、課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額(この場合、評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとし、
=節税できる=評価が低くなるはダメ
(特定の評価会社の株式)
189 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「特定の評価会社の株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
 なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。(昭58直評5外・平2直評12外・平6課評2-8外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平25課評2-20外改正)

18.贈与が相続財産と認定されなかった事例等
原資とそれぞれの管理状況=出し入れ・通知・保管・印鑑・サインがポイント
立証責任は課税庁に有る=何時のジレンの管理・運用・利得か
=登録印の名義。通帳管理。入出金が誰か?手続き?通知の郵送先・配当先
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0305020000.html#a93
被相続人の家族名義の預貯金等について、その管理状況、原資となった金員の出捐者及び贈与の事実の有無等を総合的に勘案したところ、被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例(平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し・平成25年12月10日裁決)▼ 平成25年12月10日裁決
《要旨》 原処分庁は、請求人ら及びその家族の名義の預貯金等(本件預貯金等)について、請求人らの申述及び代理人から提出された本件預貯金等に関する金額の移動状況等を記載した資料に基づき、その管理・運用状況、原資となった金員の出捐者及び贈与の事実等を総合的に勘案すると被相続人の相続財産に該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁は、本件預貯金等の使用印鑑の状況や保管場所などの管理状況について何ら具体的に主張立証を行わず、また、その出捐者についても、相続開始日前3年間の被相続人の収入が多額であることなどを挙げるのみで、具体的な出捐の状況について何ら主張立証を行わない。そして、当審判所の調査の結果によっても、被相続人、請求人ら及びその家族の名義で取引先の金融機関に提出された印鑑届等の筆跡並びに印影から、本件預貯金等は各名義人が管理・運用していたと推認されるものの、本件預貯金等の出捐者については、誰であるか認定することはできず、また、被相続人から請求人らに対する贈与の事実の有無については、贈与がなかったと認めるには至らなかった。したがって、本件預貯金等の管理・運用の状況、原資となった金員の出捐者及び贈与の事実の有無等を総合的に勘案しても、本件預貯金等がいずれに帰属するのかが明らかでなく、ひいては、本件預貯金等が被相続人に帰属する、すなわち、相続財産に該当すると認めることはできない。
《参考判決・裁決》 東京地裁平成20年10月17日判決(税資258号順号11053)
 平成19年10月4日裁決(裁決事例集№74)

被相続人の妻名義及び子名義の預貯金及び有価証券がその管理状況及び原資等から相続財産であると認定した事例
▼ 裁決事例集 No.74 - 255頁
 請求人らは、本件預貯金等のうち、 妻名義のものは、妻が被相続人との婚姻前から保有していた預貯金及び妻固有の収入並びに生活費を節約して貯めたヘソクリを原資として形成されたものである、 子名義のものは、子が両親との同居期間中に子固有の収入から生活費として家計に入れていた金員等を原資として形成されたものである、また、 一部のものについては被相続人から生前に贈与を受けたものである旨主張する。
 しかしながら、 本件預貯金等のうち妻及び子名義の郵便貯金の一部については、「郵便貯金メモ」等により被相続人が管理しており、被相続人がその処分権を有していたと認められること、 本件預貯金等のうち 以外の預貯金等についても原資は被相続人が出捐したものであり、その管理も被相続人により行われていたと認められること、 妻の固有収入は本件預貯金等以外の預金に化体しており、本件預貯金等の原資たり得ないこと、 子が固有収入を生活費として家計に入れていた事実を認めるに足る客観的証拠はないこと、 生前に贈与を受けたと請求人らが主張する預貯金等について妻は贈与を受けたことはない旨答述している上、贈与されたと主張する預貯金等の管理運用は被相続人が行っており、贈与の事実は認められないこと等から判断すると本件預貯金等は相続財産であると認めるのが相当であり、請求人らの主張は採用できない。
 なお、妻名義の普通預金1口については、原資が不明である上、口座開設時の印鑑届の筆跡も妻であり相続財産とは認められないから、原処分はその一部を取り消すべきである。平成19年10月4日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0305010000.html#a83
被相続人の相続開始数日前に相続人によって引き出された多額の金員は、被相続人によって費消等された事実はないことから相続財産であると認定した事例
▼ 平成23年6月21日裁決《ポイント》
 本事例は、相続開始数日前に相続人によって引き出された50,000,000円もの金員の使途について、相続人は不自然、あいまいな申述をするのみで、不明のままであったが、被相続人が費消等した事実は認められなかったために、被相続人の相続財産であると認定したものである。
《要旨》 請求人らは、相続開始の数日前に被相続人名義の預金から相続人が出金した50,000,000円(本件金員)について、出金された当日に被相続人に引き渡され、相続開始日までに被相続人によって費消されて存在していなかったから、本件相続に係る相続財産ではない旨主張する。
 しかしながら、被相続人が、50,000,000円という高額な金員を家族に知られないまま費消することは通常であれば考えられないことに加え、本件金員をギャンブル等の浪費によってすべて費消するには相続開始前の数日間では短すぎるのであって、被相続人の消費傾向に照らしても、本件金員がすべて費消されたとは考え難く、また、被相続人自身、数日後に死亡するとは考えておらず、多額の費用が必要な手術の準備をしていた時に、本件金員を引き出す直前の預貯金残高の8割を超え、総所得金額の2倍以上に相当する50,000,000円もの金員が、そのような短期間で軽々に費消されたとも考え難い。さらに、原処分庁及び当審判所の調査の結果によっても、本件金員が、相続開始日までに、他の預金等に入金された事実、債務の返済や貸付金に充てられた事実、資産の取得又は役務の提供の対価に充てられた事実、その他何らかの費用に充てられた事実はなく、家族以外の第三者に渡されたような事実もない。以上のとおり、通常想定し得る金員の流出先についてみても、本件金員が費消等された事実はなかったのであるから、本件金員は被相続人によって費消等されなかったと認めることができ、ほかにこれを覆すに足りる証拠はない。したがって、本件金員は、本件相続の開始時点までに被相続人の支配が及ぶ範囲の財産から流出しておらず、本件相続に係る相続財産であると認められる。
《参考判決・裁決》
 昭和54年6月21日裁決(裁決事例集No.18・97頁)

19.現物出資後の相続
之も現物出資を債券に変えて出資したのですが直ぐに相続が発生した。
3年以内のため否認されたのでは?

【財産評価基本通達総則第6項】
(この通達の定めにより難い場合の評価)
6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
類似業種比準法式で持株会社が純資産額に比して巨額の節税や
評価減の場合に国税はジェラシー嫉妬から否認してきます。
かつてのバブル期の負担付贈与の相続税節税封じと同じです。
自ら類似業種比準法式を定めながら国税庁長官の指示で、大手監査法人に株式の鑑定を依頼=純資産額へ評価して課税したと思われます。
タワーマンション節税も時価に比して相続税評価減が多いので何時封じられてしまうかリスク有ります。


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