昨日の天気は雨。

濡れてもすぐ乾くような、小降り。家に帰ってきたときは少し粒が大きくて、冷たかった。

 

昨日の午後、夫ではなく先生からの具体的な話を聞きました。

 

とても運転できないと思った私は、母に応援を頼み、私の父と母がついてきてくれました。

そして、先月癌で妻を亡くしたばかりの義父と。

 

義父は…。

妻を亡くし、そして息子を亡くすかもしれないという気持ちで、運転してきたのです。

それがどれだけの悲しみか、苦しみか。

他人が考えてもきっとわからないほど、心はボロボロかと思います。

私などよりずっと。

 

先生の説明の時にも、夫はもちろんいます。

車いすに乗り、酸素吸入を受けながら、腕に内出血の跡が点々とあるとても痛々しい姿で。

もともと脈がとりにくいおでぶさんなのでうまく血が取れないことが多々あったのですが、血小板の量が足りず止まりにくく、そうなってしまっているのです。

 

「〇〇さんは今、転んで頭を打ったら死にます」

 

これは、いつも絶対といわない話し方をする先生にはらしくないほどきっぱりと言われました。

頭でなくても、主要な器官から血を出したら、彼は死んでしまうのです。

考えたくもない。

けれど、それを踏まえたうえで病院のスタッフの方々は頑張ってくれていますから、安心はしています。

そしてもし万が一があったとしても、それは病院の方々のせいではないと自分に言い聞かせています。

 

午後に聞いた先生からの話はおおむね、夫の言っていたことと変わらず、

ただ六月の頭にとった血液の値と月末の血液の値は別人かと思うほどのものであり

 

あまりにも急激な変化をしているので、治療も急を要すということでした。

 

現在の夫の状態は

 

『胃癌術後、骨髄癌腫症再発の疑い』

 

疑いの状態から、抗がん剤を見切り発車して打つという話でした。

治療法、治療名はCAPOX+Pembrolizumab

と治療同意書には書いてあります。

点滴と経口での薬の投与となります。

調べてみると再発進行の胃癌に使われる方法で、骨髄の抑制の作用もあると書いてあります。

彼の骨髄は今がんの病巣ですので、そちらの抑制に期待したいということもあるのでしょうか。

 

見切り発車に関しては、ほかの専門機関で見てもらってはっきりとした結果が出るのですが、

顕微鏡で見た限りはほぼそうであると思われる。

なにより、血液の検査結果が、正式な結果を待っていられないほどである。

 

待っていられないほど、悪い……ということですねとはさすがに言えませんでした。

それ以外にその言葉の意味などないのですから。

そして、その時点で私の中の密かな希望であった

『骨髄癌もそれ自体が原発である可能性』

という線が、一気に萎んでいくのがわかりました。

 

ぐらぐら頭が揺れて、ずっと堪えていた涙がまたあふれそうになり、

必死に押さえました。

 

6/30日の夜、夫から電話で聞いて

その夜は一人でギャーギャー怒ったり、叫んだりしながら大泣きしたのですが

(防音仕様の一軒家でよかった)、

まだ涙は出たりないとばかりに涙腺を小突いてきます。

 

 

夫は、涙がすぐに出る私を、いつもちょっと困った顔で泣いてんの?泣かんといてと

励ましてくれる人です。

私を泣かせたくないから、と自分が頑張る人です。

それをわかっていたのに、私が夫に全部抱え込ませてしまった。

私が……こうなったのが私ならよかったのに。

この言葉は、絶対に言ってはいけない言葉です。

そんなことは夫も望んでいないのは知っているし、

もし逆の立場なら夫は私と同じかそれ以上に悲しむのはわかっている。

だから彼や周りの人たちには言えないけれど、私は本当に心の底からなったのが自分だったらよかったのにと思います。

 

必要とされているのは、私より絶対的に夫のほうです。

これは自慢なのですが、夫は仕事ができる人でした・・・

再発が確定したとき、もう仕事はしない、お金になるものを売ってそばにいると私に言いましたので過去形ですが。

もともと一度目の時に彼が話していたことなので、今回私は特に反対もしませんでした。

一度目のがんが発覚した時に会社員ではなくなったので、仕事を受けさえしなければ、

もう辞めたとなる感じの手に職系の人でしたので。

家のことは全くさっぱりな人ですけど、私は家事適当どころかほんとに家事やってるかくらいのだらだらぐだぐだ主婦で、

それでもまあ別にええよ~と許してくれるような人です。

身内にはとことん優しいのですが、一度敵とみなすとそれはもう恐ろしい人なので、恨みは買っているかもしれません。

けれど、それに関してはすべて相手方の落ち度から始まったものだけであり、もし恨まれていたとしても逆恨みなのですが。

 

 

私は、夫に頼られなければいけません。

夫のつらさを、私も一緒に抱えられなければいけません。

だから、泣けないのです。

強くなければいけない。

心配させたらいけない。

泣けないのですが、堪えるのですが、声を上げるほどではなくても

やはり、涙はこぼれました。

 

幸い、車いすに乗せられた夫は私の斜め後ろだったので、あまり私の顔は見えていなかったと思いますが、それでも気づいたでしょう。

彼は自分のことに関しては秘密主義で、自分以外の人のことには勘の鋭い人ですから。

厄介な人です。

もっと鈍感でいてくれたらいいのに。

もっとのんびり生きてくれたらいいのに。

 

 

再発闘病二日目のこと