PB黒字化目標により日本が凋落した
1.「歴史」は、二つの「情報の間違い」により引き起こされた可能性が高い。
①デフレは総需要不足という「事実」に対する無理解。
②国債金利は政府にコントロールできない、という間違った認識。
PB黒字化目標は「基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する」ことが目的なのではない。「政府債務対GDP比率の引下げ」こそが目的だった。日本にとって「政府債務対GDP比率」など、どうでもいいことは、今さら言うまでもない。
2.政府債務対GDP比率を引き下げるためには、PBがバランスしているという前提で「名目GDP成長率>国債金利」となればいい。名目GDPや国債金利は「市場」が決める。だからこそ、政府債務対GDP比率を「政府」が引き下げるためには、PBをコントロールするしかない。大本の発想はこうだった。
3.高市首相が基礎的財政収支(PB)の目標見直しを表明したことで、財政論争が再燃する可能性が出てきた。積極財政派は、歳出の自由度を縛るPBを敬遠する傾向があり、これまでも経済政策の指針を巡って攻防戦が繰り広げられた。きっかけは衆院予算委員会で、首相がPB黒字化目標の達成状況を毎年度の予算編成などで確認する従来の方法を「取り下げる」と表明したことだ。
4.麻生太郎は2017年、PB黒字化と比べて債務対GDP比を安定的に引き下げる方が「よほど長期的には難しい」た。理由はまさに「名目GDPと国債金利はコントロールできない」と、財務官僚に吹き込まれたためだ。国債金利は、日本の場合、中央銀行がコントロールできる。コントロールできない、というならば、日銀がやっていた「イールドカーブコントロール」は何だっただ。
5.独自通貨国の日本国の中央銀行は、短期金利も長期金利もコントロールできる。更にPB黒字化目標に基づき、「増税」や「政府支出削減」をすると需要が減る。そして、デフレは「総需要の不足」により起きる。PB目標はデフレを深刻化させる。総需要とは名目GDPだ。PB黒字化目標で名目GDPの成長が妨げられると、政府債務対GDP比率は上昇する。つまりは「デフレは総需要の不足ではない」(実際には総需要の不足)「国債金利はコントロールできない」(日本の場合は普通にやっていた)という間違った思い込みが、日本をここまで凋落させた。思い込み如きで祖国が亡ぶなど冗談じゃないが、意外と人類史はこの手の事例で満ち溢れていたりする。PB黒字化目標は撤回だ。