塩分摂取意識について
今まで日本では塩そのものを健康の大敵だと目のカタキにしている傾向がありました。
今でも「塩分=悪」だという考えをしている人は多いのではないでしょうか。
そもそも、どうして「塩分の摂り過ぎは体によくない」という意識が日本国民の間に広がったのでしょう
か?
それは、1954年(昭和29年)に行われた、アメリカのダール博士による調査発表が発端になってい
るのです。
ダール博士は、日本の東北地方で脳卒中などの疫学調査を行い、その結果、同地方で非常に高い発病率を
示し、その原因がたくあんや塩鮭をたくさん食べる食生活から見て、食塩の摂り過ぎではないかと結論づ
けたのです。
この調査にさらに火をつけたのは、翌年アメリカのメーネリー博士によって行われた発表です。
これは、10匹のラットに毎日通常の20倍の食塩を6ヶ月与えたら、4匹が高血圧になったという内容
でした。この話が、「食塩を摂り過ぎると高血圧になる」という情報で世間に広まったとのことです。
ラットに与えた食塩の量は、人に当てはめると1日当たり200~300gに相当します。
明らかに異常な過剰摂取です。どんなに良いものでも、過剰に摂取すれば有害物に変わってしまいます。
逆に、これほど大量の塩を摂取させたにもかかわらず、10匹中6匹には何の変化もなかったことに注目
すべきではないでしょうか?
東北地方のダール博士が結論づけた話も後年の調査では、本当の原因は、農家の家屋構造にあることが判
明しています。当時の農家の便所は母屋から離れた別棟に作られていて、冬はいろりで暖をとっているが
便所へ行くには雪の積もった庭を通り、寒い風が吹き通る便所でお尻をださなければならなかったん
です。この極端な温度差が、高率の脳卒中を発生させたのです。
塩というのは、体を温めて免疫力を増強し、心臓の筋肉や四肢の筋肉の収縮力や神経伝達に関与し、血液
やリンパ液などの体液の浸透圧を一定に保つとされているように、健康維持増進には不可欠の栄養素なの
です。
ここでいう塩というのは、イオン交換膜と電気を用いて人工的に作られた塩化ナトリウム100%に近い
塩ではなく、ミネラル成分が豊富に含む自然海塩のことを指します。
現在、日本のスーパーやネット上でもいろんな塩が販売されているかと思いますが、成分表なんかをきち
んと確認して体にいい塩選びをしてくださいね。
参考文献 いのちと塩/COCORO
