私は元来、月が好きでした。
満ちたり
欠けたり
夜空に浮かぶのは勿論のこと、昼間の薄青空にいたり。右側だけだったり左側だけだったり。細かったり丸かったり。赤かったり黄色かったり白かったりして。
なんて気まぐれな奴なんだろうと。
オレみたいな奴だなあと。
でもオレと違って綺麗だなあと。
だから好きでした。
でもある日から
俺は月が嫌いになりました。
桜が散ってしばらく経ったころに。
月が憎くて堪りませんでした。
月という言葉を聞くだけで、月の影を感じるだけで、息が苦しくなりました。
月が消えるか俺が消えるか、これはもうどちらかしかないと思いました。
でも
どちらも選べない。
だから私は
月をなかったものとしました
存在を忘れようとしました
それから半年。
今日の月を見たら、俺の負けだなって思いました。
あなたの美しさを、やっぱり亡きものにはできない。私があなたを憎んでいた間もずっとあなたは変わらずそこにいて、やっぱり気まぐれな光を放ってた。
美しく光ってた。
おれはあなたがすきだ
どんなに気まぐれでも
満ちたり欠けたり消えたりしても
あなたを
無かったことにはできない
太陽と違って凝視しても責め立てない。追いかけても届かないし、逃げても逃げ切れない。
私が泣こうが喚こうがびくりともしない月が、私は好きでたまらない。
そんなことすらも嘲笑うかのように
今日も月は
2016年10月15日