「アフター・アース」感想【ネタバレ若干】 | カキオキ

「アフター・アース」感想【ネタバレ若干】

「アフター・アース」感想。
ウィル・スミス親子競演ばかりクローズアップされているが、開けてビックリまさかのシャマラン監督大復活映画。
100点満点で90点です。


予告編が劇場でやたらパワープレイされていたのにも関わらず、シャマラン監督作品である事が全く触れられていなかったので、直前で知ってとてもビックリしました。
ああ、今やシャマランって配給会社が隠したくなる要素なのかあと思いました。
予告だけのイメージだと、スミス親子競演のみがトピックの薄っぺらい企画物SF映画で、おまけにあのエアベンダーで落ち目になって広告でも名前伏せられちゃったあのシャマラン監督でしょwなどと、エアベンダーを観た事も無いのに勝手にど失礼な事を思って劇場に望んだのですが、
とても敷居が低くて誰でも受け入れられる作りなのに反して、物凄くテーマが深いお話で、しかもなんの高尚な感じも無く、素直にとても面白くてビックリした。
父子の絆を通じて人が乗り越えるべき通過儀礼が凄く深く描かれていたように思います。

父親の通信によるバックアップでなんとか危機を乗り越えていく序盤の二人三脚の展開から、酸素供給薬の不足を正しく報告せず嘘を付き、帰還命令を無視して独断する、まさに親離れしていく反抗期のような展開へと続いていき、通信が途絶え、親との繋がりが途絶する青年期へと進んでいく。
襲い来るクリーチャーや、閉じる草木で表現される夜の極寒、敵とも味方とも断言できないが何か途轍もなく大きな力の象徴である巨鳥の存在など、誰しもが人生の成長期に出会うであろう何かをあらわしているように思える。
全ての展開が、親との関わりや決別、他人や世界がもたらす障害を通過儀礼として成長する人間の有様をドラマに凝縮したような感じで、とても密度が深く味わい深い。
そして人の恐怖を感じ取るモンスター「アーサ」とのラストバトルのカタルシス。
この険しい道のりがあったからこそ、キタイは期待に応える事が出来たと素直に思える成長譚。
ラストで、キタイがアーサにトドメを刺すシーンを、無名の乗組員がビデオ視聴して関心しているカットも、人々の新しい英雄の誕生を表していて凄く好きです。
まさに一人の人間の成長の縮図。

特に、敵か味方か結局わからない巨鳥の存在は、実にシャマランらしいなあと思い、僕がこの映画で最も気に入った点だった。
巨鳥の行動原理はどうとでも取れるので、人によって解釈が違うだろうが、何か、人生における敵とも味方とも付かない存在との出会いを連想させてくれる。
巨鳥は実人生に当てはめると先輩とか上司、はたまた、配偶者のような、上手い付き合いを見出さなければ生きていけない他人を表しているのだろうか。
割と敵味方がハッキリしている作品の中で異彩を放つ存在で、どうしても心に残ってしまう。

ところで、主人公の名が「キタイ」なのは単なる偶然なのか?
いずれにせよ父や家族や人類の「期待」に答えた、その名に恥じぬ男に成長したと思う。
人の恐怖を感じ取るモンスター「アーサ」に対して戦いを挑んだが恐怖を隠す事が出来なかった為に死んだ姉の名が「センシ」なのも単なる偶然なのだろうか?
劇中、幾度か主人公に助言する姉の幻想は「戦士」の教えを説いていたのかも知れないと思うとまた感慨深い。

後、この作品が良かった点は、老齢化が問題視されているハリウッド超大作にしては主演が大幅に若返った事です。
それでいて、ウィルスミスの威光はしっかり拝借出来ているので、コマーシャル的にも言うこと無いでしょう。
スミス親子競演をアピールする為にシャマラン監督は割り食った感じはしますが、作品が評価されればそんなの全部良い方に跳ね返って来るから万事OKだと思います。

とまあ、ベタ褒めで書きましたが、ぶっちゃけこの映画、設定に突っ込み所は多いです。
なんでアレだけのテクノロジーがあるのに近接兵器しかないのかとか、そもそもあの程度のモンスターは余裕で駆除できるだろとか、地球は危険度最大って割にはキタイの装備が貧弱だっただけで然程危険でもなかったよねとかetc..。
ただ、設定の突っ込み所ってのは、そういう話だからって事で納得できるし、本当にやっては行けない、設定以降の物語上の嘘や人々の行動原理に嘘は無いと思うので僕的には全然OKでした。
スミス親父が息子のバックアップに使うモニターシステムのテクノロジーとか結構楽しかったし。
後、オペでザク化するスミスとか微笑ましかった。
動力パイプ的に。

PS.エアベンダーもちゃんと観ます。


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