「ジャンゴ繋がれざる者」感想【ネタバレ若干】 | カキオキ

「ジャンゴ繋がれざる者」感想【ネタバレ若干】

タマフル向けに書いた映画感想が数本溜まっていたのでブログに放出。
もう上映終わった奴もあるが、BD発売に向けてと言う事で気にしない。
とりあえず上映中のコイツから。

ジャンゴ繋がれざる者」感想。
長くて平板で退屈な西部劇。
100点満点で45点です。

西部劇は「荒野の用心棒」など数本しか観た事が無いほど西部劇リテラシーが欠如してる僕の感想。



本作は3時間近い長尺でありながら、さして面白みも無い会話ばかりで、肝心の銃撃戦は少なく、非常に退屈でした。
復習劇にも関わらず、血肉の通った感じに乏しい、体温の上がらない演出と、新しいと思えるものは全然感じない、どっかで観た様な変化に乏しい単純極まりない脚本で正直ちょっと3時間弱はきつかったです。
肝心の銃撃戦も、基本的に「不意打ち」で始まる物ばかりで、来るぞ来るぞって言う盛り上がりにかける。
特に、歯医者がレオ様にキレて不意打ちで撃ち殺す所とか、今までの作戦の段取りを全て自らおじゃんにしてしまって正直馬鹿にしか見えませんでした。
「歯医者キレタ!ヒュー!レオ様ざまあみろ!」ってのが監督の意図した観客の反応なんだろうけど、僕は「あーこいつ馬鹿だわーおとなしく金払って退場すりゃ良いのに」と思いました。
全然ロジカルじゃないし、カタルシスも無く、ここまでの退屈なストーリーはなんだったんだよって不満しか残らない。
そういや、この監督、不意打ちパターン多いよなあ・・。
早撃ちの決闘みたいなのをやれとは言いませんが、せめて凄腕のライバルとの死闘くらいは設定すべきじゃないですかね。
「キル・ビルvol.1」は文句なしに良かったんだが。

そもそも、ジャンゴが何故凄腕かつ、目の前で同族が虐殺されていても冷静を装える程のスーパー黒人なのかが全然わからん。
怒る描写が毎度毎度腰のホルスターに手を伸ばすだけで、マグマのように煮えたぎった怒りが全然感じられないので感情移入もできない。

奴隷制の、時代背景などは一切知らなくても理解できるように構築されたストーリーだったという事は良かった。
ただし、やはり僕はアメリカ人では無いので、奴隷制だなんだってのを頭で知っていても、それがどのような物で、どれくらい酷い物なのかは心では知らない為に、圧政者に対しても今一つ怒りは沸かなかったし。
やはり、これはアメリカ人の観る映画ですよ。
例えば、黒人が馬に乗ってても説明されなきゃなんの疑問も感じない。
この映画では、ちゃんと説明してくれる点は評価しますが、極東の島国のボンクラ日本人の一人としては、説明されても「あーそういうもんなのね」と理解するだけで感動までには昇華しない。
白いほっかむりが合う合わないでトラブル起こしてるシーンもKKKへの皮肉なのかなと一応は理解できても、血肉としてKKK等を理解していないので少しも笑えなかった。

監督の前作「イングロリアスバスターズ」もそうだったけど、僕ら日本人にしてみりゃナチスが悪者って前提がそもそも心に無いから、あまり響かなかったし。
僕のナチスのイメージっつったら、どっちかっつーと「タミヤの1/35ドイツ戦車カッケー」ですし。
ナチスとか、ぶっちゃけ中学生くらいまでは、どっちかっつーとヒーローでしたよ。
だって、アメ公のシャーマン戦車よりドイツのタイガー戦車(ティーゲルではなく、タイガー)の方が強いしでかいしカッコいいし。
おっと脱線。

奴隷差別は酷い事実ではありますが、この時代に置いての常識の範疇だと思うので、それを迎合していただけで殺される人々にも正直同情してしまいます。
たいした罪も無いのに虐殺される「キック・アス」のマフィアの部下達よりはマシですけど。
時代に流されただけで殺された彼らも被害者でしょ。
勧善懲悪を意図したのかそうでないのかはわかりませんが、まあ僕的にはスッキリしませんでした。

余談だけど、本作を観た翌日、西部劇繋がりでふと思い出した「闘士ゴーディアン」のOP動画をなんとなく検索し閲覧して、そのあまりにもほのぼのとした素晴らしい内容に大爆笑してしまいました。
「ジャンゴ繋がれざる者」で一番面白かったシーンより、「闘士ゴーディアン」のOPの方が遥かに面白かったです。
けしてゴーディアンを引き合いに出してジャンゴをディスってるんじゃないです。
ゴーディアンのOPが面白すぎるんです・・・。

SF西部劇「闘士ゴーディアン」


闘士ゴーディアン