「のぼうの城」感想【ネタバレ若干】 | カキオキ

「のぼうの城」感想【ネタバレ若干】

のぼうの城」感想。
上映時間145分の睡眠導入映像。
100点満点で45点です。

秀吉の小田原攻めで唯一落ちなかった忍城の攻城戦のお話。


一言。退屈。

別に長い映画は嫌いでは無いですよ。
同じお金を払うなら、上映時間が長い方がお得ですしね。
だが、本作の場合は、大した面白みも無い状況説明の為のドラマが延々と続くので苦痛でした。
最初の見せ場の攻城戦まで1時間位掛かったのではないでしょうか。
クライマックスシーンに対して、状況説明や進行パートがあまりにも長すぎる。
もちろん、状況説明や進行パート自体が面白ければ何の問題も無いんだが、いかんせんつまらな過ぎる。

後、好みの問題も多いが、ちょっとキャスティングが演者のキャラクターのまんま過ぎないかな。
ぶっちゃけ時代を感じないって言うか、現代劇を観てるかのようでした。
単に、台詞が現代的だからってだけじゃなく、なんか演技がまんま現代劇っぽいんだよねえ。
主演の野村萬斎はキテレツな役どころだからともかく、佐藤浩市はいつも通りの佐藤浩市的カッコいい大人だし、成宮寛貴はちょっと若気の至りなやんちゃ坊主だし、榮倉奈々なんてそのまんま。
特に、ドンドコドンの山口氏の終始カッと目を見開いた熱演は、一部では評価が高いようですが、僕的には逆に「こんな漫画みてえな武将いねえよ」的にマイナスポイントにしかならなかったです。

野村萬斎演じるのぼう様のキテレツなキャラクター造詣自体はこれはこれでアリだとはと思うのですが、周囲の人間達の佇まいや、そもそも世界観に対して、あまりにも浮いていて感情移入できない。
この親からのぼう様が生まれたとは到底信じられないし、明らかに一人だけ演技的にも物語的にも勝手に暴走してる感じ。
特に問題な点だが、のぼう様が味方のみならず、敵をも人身掌握するのだが、民衆が心変わりする過程があまりにも不自然。

僕的には本作でもっとも期待していた肝心の知略戦も、あまりにもいい加減で質、量共に不足。
145分も上映時間があるのに、スペクタクルシーンはすげー短くてガッカリ。
ていうか、知略戦を仕掛けるのは敵側の方で、のぼう様は大した策も講じないのは閉口した。
成宮君がちょこっと罠を仕掛けただけじゃねーかよ。
ドンドコドンの山口氏や佐藤浩市に至っては、悪い意味で漫画の様な単騎の力押しで何故か大勝利を収めてしまってナニコレ状態。

そもそも、のぼう様が秀吉に盾突いて城篭りをした事ってほぼ無駄だよね?
敵味方にどれほどの生命が失われたかわかりませんが、それで何を得たと言うのか。
なんか、予告でも「嫌な物は嫌なのじゃ!」って言ってますけど、結果的にはまるっきりこの台詞そのままの我侭でクソみたいなプライドを通したかっただけの人で結果的に城主として最低なんだけど。
問題なのは、それをさも良い事をした偉人のような体で映画にしている事。
愚かな我侭城主のお話的な落とし所だったら、僕も納得していますが、まるで英雄のような描き方で萎え。

公開延期決定からずーっと期待していた映画なのですごく残念でした。


墨攻みたいな映画かと思ってましたよ。
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