【イースⅨ -Monstrum NOX-】クリアしました。

 

前作である【イースⅧ-Lacrimosa of DANA-】でイースシリーズに初挑戦、その後、過去作である【イース セルセタの樹海:改】もプレイ。

 

満を持してシリーズ最新作である本作をプレイしました。

 

▼過去のレビューはこちら。

 

 

 

【舞台や設定的なあれこれ】

 

▲これまでの舞台は主に樹海や無人島で、情報が殆ど無い未知の領域だったが、今作の舞台は監獄都市「バルドゥーク」。歴史があるとはいえ、人が栄えている街の中を「冒険」の舞台に仕立て上げてしまおう、というのは中々新鮮でありましたな。

 

▲時系列は前作「イースⅧ」から4年後、アドルは24才、ドギは29才に、アドルはより大人っぽく、ドギは老けたな。シリーズで最も後ろの作品になり、これまでの冒険の中で訪れた土地や出会った人々の存在がさりげなく言及されていて善きかな。

 

▲エンディングでアドルの記憶から錬成された魂達。全員は分からなかったが、シリーズが培ってきた重みを感じることができた。でもこれをやっちゃうと今後のシリーズ展開で前のお話を作りにくくなっちゃうような気がする。

 

 

【グラフィックやアクションのあれこれ】

 

▲前二作に比べてもグラフィックは大きく進化。特にキャラクターの表情やちょっとした仕草はグッと表現が広がった印象。反面、それ以外のイベントシーンの動きなどは相変わらずPS2レベル。ここら辺は制作側が割りきっている印象なので悪いことではないけどね。

 

▲今作の目玉である異能アクション。フィールドが立体的な広がりをしており、壁を登ったり、空を滑空したりして縦横無尽に駆け回れるのは楽しかった。仲間が増える毎にアクションが共有されるので、一々キャラを変更する必要がないのも嬉しいところ。個性を消してしまっている面もあるけど面倒なのでこれで良し。宝箱見るたびに駆り出されるデュレンは面白かったけど。

 

▲ただフィールドの隙を潰すような反り返りや段差が煩わしく感じた。カメラワークも悪く、上を見上げるのにも一苦労。「壁がある→カメラを上に向けて高さや反り返りの有無を確認→登る」となり、探索を主軸に据えたゲーム作りなのにこれが原因で流れを断ち切ってしまっている。

 

 

【キャラクター的なあれこれ】


▲今作は主人公達が怪人化することで姿が変わる。見てくださいよ、この厨二チックな設定&ビジュアル。拗らせすぎな感じもするが自分は大好きです。


 

▲「白猫」のキリシャ。ゲーム本編はほぼキリシャとのデート。特徴的な瞳が実にキュート。終始、優しさが滲み出てて守ってあげたくなるタイプ。それでいて決して弱いわけではなく、しっかりとした芯を持っているところも良かったよね。

 

▲戦闘アクションは勿論、背伸びや覗き込む動作の専用のモーションがあったり、他のキャラとの気合いの入り方が違うね。このゲームのヒロインはキリシャだね。

 

 

▲クレドは狂戦士(ベルセルク)という種族で他者とは異なる苦悩を抱えたキャラ。強者を求める余りに辻斬りを行い、挙句にアドル相手にも突っかかっていく。イースには珍しいタイプのパーティキャラだったかな?終盤の一対一の決闘はお約束だけど手に汗握る展開だったよね。でもどんな理由があるにせよ、辻斬りしてたことに関して有耶無耶になってるのはマイナス。キリシャも犯罪行為はしてたけども、流石に人を切っといてそれはなー。

 

 

▲アネモナはアプリリスが大切にしていた人形というおいしいポジ。実質裏の主人公だよね。でも細かい設定がよく分からなかった。ゾラが人形に魂を与えたのは分かったけど、戦闘形態は怪人化によるものなのかな?じゃなきゃアプリリスが怪人化させたってことか?人形にも今の生活があると察して身を引いた経緯を考えると少し違和感があるんだよな。イベントとか全部見れたわけじゃないと思うからどこかにそういう描写あったかな?

 

 

▲ユファは喜怒哀楽の感情表現が豊かで特に怒と哀の表情が印象的。今作は物語の都合上、「家族」というものが一つのテーマになっていると思うんだけど、兄弟のなかで唯一血が繋がっていないことへの向き合い方が少し切ないよね。でも序盤の酒場の従業員としての付き合いが長く、「猛牛」としてのキャラ付けが弱かったかな。そのせいでパーティ内での影が薄すぎる。

 

▲あとフェリクス兄ちゃんがモブ過ぎてヤバすぎる。エンディングのときの会話なんてビビッて頭に入ってこなかった。

 

 

▲ジュールは病弱で怪人の呪いが無ければ歩くこともままならない。そのせいかわからないけど年齢の割には大人びており、達観した物言いをする。クレドに対しての嫌みというか皮肉はらしさが出て良かったよ。

 

▲父親も物語の重要なキャラだったのでパーティ加入が遅かったけど出番はしっかりとある。父親とのやり取りも声優の演技の良さも相まって痺れたね。終盤なんてただのアドルファンだったのには笑った。

 

 

▲本作の最重要キャラであるアプリリス。序盤はとにかく硬い表情でとっつきにくいキャラだったが、段々と柔らかい印象になっていくのはよかったね。終盤のお茶目な感じには思わずニンマリ。

 

▲格好や言動がとにかく厨二チックでグリムワルドの夜の始まりのムービーはもっと色々なバリエーションを見てみたかった。

 

 

【総評】

 

PS4でプレイできる過去二作とは少し毛色が異なるが、ほぼ全ての面において正当進化を遂げた作品だった。

 

「グリムワルドの夜→街の探索→監獄の攻略」を繰り返す独特なゲームの作りや、王道的な展開とは少々異なる物語は好みが分かれそう。

 

ただ前作に比べると物語のスケールが小さく、ちょっとした面倒ごとに巻き込まれただけみたいな緊張感だった。なんとなく力が抜けてる感じで、今日の夕飯のことを考えてそうな感じと言ったらわかってもらえるかな?

 

来年?にはイース35周年らしいので是非是非、イースⅩを出してください。

 

期待しています。