東京大学の入試問題~最高学府のプライド~ | 医学ニュースの深層

東京大学の入試問題~最高学府のプライド~

今年も受験シーズンは終盤を迎えている。
日本国内では何かと話題にされる東大であるが、今年も入試で話題を話題を振りまいてくれた。


1.今年の現代文:

知性・理性主義に喧嘩を売っているような「反知性・反理性主義的」な「随筆」が出題された。
ああいう問題を出したから、大学の人文系は廃止すべきだとか適当な評論を述べている「識者」がいるが、とんでもないと思う。東大入試の現代文第1問は「評論文」と思って読むからいけないのだ。あれは「随筆」と思えば腹がたたないでしょ(笑)?


今年の米国の大統領選におけるトランプ氏の躍進を見よ。
STAP細胞事件における「反知性・反理性主義的」な小保方さん擁護者たちの言論を見るがいい。

こういう時代・世相に警鐘を鳴らす意味で、ああいう「随筆」が敢えて出題されたのだと私は勝手に考えている。



2.昨年、今年の化学の問題:
2年連続して、研究不正に警鐘を鳴らす問題が出た。
あの問題を小保方さんは正解できるだろうか?
大学院入試(博士課程)の問題ではない。
大学学部受験生(多くは高校3年生)に課された問題である。
早稲田も、東大のような問題を出してみてはいかがか?


このように東大は世相を意識した入試問題を出す事がある。以前に「ゆとり教育」で円周率を3と教える事が世の中で話題になった。その年の数学の入試問題(文理共通)で「円周率が3.05よりも大きいことを証明せよ。」という問題が出た。そのときの出題者は「ボーナス問題」と思っていたらしいが、「意表をつかれた」受験生にとっては難しかったらしい。

今後も東大は、こういう出題を行うだろう。

推薦入試などせずに、もし今年も後期試験が残っていたら(注意:2016年から東大では後期試験が廃止されました)、ひょっとしたら出ていたかもしれないね。STAP細胞がらみの問題が。

私ならば、例の「調査委員会報告書」の要所を出して解読させたり、Nature論文をネタにする(生物系)し、Natureのニュース記事を要約させて見解を求めたり(英語)しようとしただろうに…。受験生の生命科学への素質を判定するために良い材料なんですよ、STAP細胞ネタは…。

まっ、受験生の皆さんはお疲れ様でした。
合格発表は3月10日だそうで、努力が報われればいいですね。


手記「あの日」が来年の東大入試現代文1問目(文理共通)に出されますように(笑)。