富士フイルムホールディングスの米国iPS細胞開発企業を買収について | 医学ニュースの深層

富士フイルムホールディングスの米国iPS細胞開発企業を買収について

 富士フイルムホールディングスは3月30日、iPS細胞の開発や製造を手がける米セルラーダイナミクス社をTOB(公開買い付け)で買収すると発表した。買収額は3億700万ドル(約360億円)らしい。
 日本万歳とは、必ずしも、いかないのがこのニュース。欧米のiPS細胞への関心(学術・ビジネス面)が、この1年くらいで、かなり低下している象徴的な出来事だ。
 欧米の企業及び研究機関は移植治療についてはすでにヒトES細胞で大きな臨床的成果をあげており、正直、ヒトiPS細胞にはあまり大きな期待をいだいていない。かなり慎重である。
 
 加えて、今回はヒトiPS細胞(患者特異的iPS細胞)利用の創薬ビジネスの可能性という面でも大手のセルラーダイナミクス社が事実上放棄したようなものだ。先方は、将来的に日本で思われているほどの高い市場性が無いから売ろうとした事実は重い。
欧米の期待度は、ヒトES細胞>ヒトiPS細胞なのかもしれない。