2010年 ノーベル賞と日本の科学の行方 | 医学ニュースの深層

2010年 ノーベル賞と日本の科学の行方

今週はノーベル賞週間だった。


 まあ、化学賞の日本人お二人には、日本政府の科学技術政策批判を、12月の受賞日くらいまでやってもらいたい。たとえば、亡国政治家の「2番じゃだめなんですか?」のR嬢(民主党)を、これでもかとせめたてて、政界から追放するのが、皆様の役目です(笑)。


 さて、海外の研究機関に行かない若手研究者のケースが増加している問題を、上記の彼らも指摘しているし、この期にMediaも、とりあげている。でも、分析が甘い(笑)。


 海外から帰ってきたら職がなくなる恐れでいけない人が多いということを、もう少し、深く掘り下げて述べてほしい。決して、彼らのいうように「今の若者は、内向きだから」ということではない。


 上記のノーベル化学賞受賞者の時代と決定的に違うのは、今の若手研究者は、ほとんど「短期間の任期制」であるということ。今回受賞者の時代は、いったん、大学や研究機関に就職したら、よほどのことがない限り「くび」にはならず、ちょっと、研究の発展のためにということで、一定期間、海外に行きやすい環境にあった。今なら、いった瞬間に、ほぼ確実に日本での職を失うが、そんな「ストレス」が彼らの時代とくらべものにならない。


 今、研究者として海外に行くのは「ほとんど、博打」である。向こう(たとえば米国のハーバードあたり)が、三顧の礼できてくれとかいう「レアケース」や、向こうで私のようにポストが用意されれば、まあ、とてつもなくラッキーだ(こういうのは、もうすでに、それなりの国際的業績を有する研究者にしか、縁が無い話)。


 どこやらの「アジアの大国」(中国)なんて、それこそ「国家による膨大な補助」を優秀な研究者に与えて米国に「派遣」してくる。若手を甘やかしすぎるのも反対だが、中国のような「金銭的援助も、アフターケア」も十分あるわけではないのが日本の情況だから、海外にはいかず、日本で、できるだけのことをしようと考える若者は、むしろ「賢明」にすら思える。


 まあ、それでも、ノーベル賞を受賞するためには、海外で「実績」をあげ、国際的に評価の高い研究者(ノーベル賞受賞者とか)に顔と名前を「しっかり」覚えてもらう必要がある。

 その意味で、現在の日本の情況をみた場合、今の受賞有力候補層の受賞が一巡したら、あるいは、今、45歳未満の研究者からは、かなり受賞者が出にくくなるだろうな。。。

 日本政府が、どうしても、今後も、継続的にノーベル賞受賞者を出したいのなら(というか、日本の科学技術力を維持したいならば)、「海外有力研究機関」との共同研究を推進する競争的研究資金の枠を、もっと拡大し、そのグラントに当たったものは、国が終身雇用を確約するというグラントをつくればいい。

 その際、35歳までをA区分:200名、36歳ー45才をB区分:150名、46歳ー55歳をC区分:150名として応募区分を3つ用意することが重要。年齢で有利・不利にならないように。


 今の「最先端30」や「最先端300」なんて、即廃止して、上記グラント創設に資金をあてればいい。


 まあ、難しい話は、これくらいにして、10月11日は、ノーベル経済学賞の発表か。

まさに、この賞ほど、「海外、特に米国のトップ経済学者」と「どれだけ仲がいいか?」が重要になる賞はない。要は、米国が好む革新的な「○×経済理論」の信者をどれだけ、海外(特に米国)で増やせるかが鍵。今まで、手が届いた寸前で逃した日本人は2人いたが・・・。


 予想しとこうか?今年も無理だと思うよ。というか、この不況の最中で、もらいたくは無いでしょうね。

「経済学って、なんの役に立ってるんや~!」って、日本の一般からは、いわれそうだな(笑)

 まっ、日本人の今年の有力候補者がもらった場合、株価はどうなるのかな?って、想像してみたら?


 なお、それにしても「研究内容は、はっきりいって、ほとんどまったくわかりませんが、ノーベル賞受賞おめでとう」などと、テレビのワイドショー司会者が「あからさまに」よく言うが、受賞者は、よく「悲しくならないものだなあ」と感心している。

 医学で、これを言われたら、寝込むよね(笑)。山中先生(笑)。

身近な一般の人々に、自分のやってる仕事の価値をわかってもらえることのほうが、私はうれしいから。