2010年 ノーベル生理・医学賞の発表前の受賞者氏名漏れ「事件」 | 医学ニュースの深層

2010年 ノーベル生理・医学賞の発表前の受賞者氏名漏れ「事件」

 今年のノーベル医学生理学賞の発表があった4日、スウェーデンの大手日刊紙「スベンスカ・ダグブラデット」が同日付朝刊で受賞者を的中させる「特ダネ」を報じた。候補者さえ事前に明らかにならず、受賞者が決まっても発表まで厳しい箝口(かんこう)令が敷かれることで有名な賞だけに、「史上初の特ダネか」と地元で波紋が広がっている。

 同紙は朝刊1面トップで、「ノーベル賞、体外受精児に」と題し、体外受精の技術を開発したロバート・エドワーズ氏が医学生理学賞に選ばれると伝えた。 6~8面には、エドワーズ氏や体外受精で初めて生まれたルイーズさんの写真や解説などを掲載した。記事では「弊紙がもっている情報源によると」として、単なる予想ではなく、特ダネであることをにおわせている。現地時間早朝にはウェブサイトでも配信された。

 他紙はiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授ら他の研究者の名を候補に挙げ、「予想」と断って報じた。事前の予想でもエドワーズ氏の名前を取り上げた社はなかった。

 医学生理学賞選考の責任者を務めたヨラン・ハンソン教授は、朝日新聞の取材に「的中させた新聞は毎年、予想を掲載している。いつも外れるのに、当たったということだ。これ以上は話せない」と語った。

 欧州のラジオ局によると、選考委員会関係者は、記者団に「朝起きて、非常にショックを受けた」と語ったという。受賞者を発表したノーベル賞の記者会見でも「どこから漏れたのか」などと質問が相次いだ。

 在スウェーデン日本大使館は「この新聞が自然科学系3賞で予想記事を出したのを見たことがない。記事の内容や書き方から言ってスクープ記事と考えるのが自然」と話す。(朝日新聞)

 コメント:

 まあ、ノーベル生理・医学賞の受賞候補「テーマ」は、毎年、最初は、5~7つくらい選ばれ、順次絞られていく。その中に「体外受精」は入って、最後まで残ったというわけだ。
 それにしても、50人の選考委員のうちの誰かが、その間に漏らさないと、こういう事態は生じないし、第一、今回のテーマなんて、選ばれた後でも、未だに「?」だから(笑)、漏れたんだろうなあ。

 ちなみに、「バチカン」は「体外受精」が授賞するなど、ゴルア~と怒ってるそうだ。
こういうのをみてると、ヒトES細胞と違って「神の摂理」を汚さないと「バチカン」が評価したiPS細胞がごく近いうちに授賞するための「フラグ」が立ったなあと感じる、秋の夜中・・・。