メタボとウエスト・・・無関係!? | 医学ニュースの深層

メタボとウエスト・・・無関係!?

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準となる血圧などの検査値の多くは、日本人男性の場合、腹囲(腹部肥満の有無)に関係なく体重が増えれば悪化する傾向が強いことが、立川メディカルセンター(新潟県長岡市)の調査で分かった。3月には厚生労働省研究班の大規模調査で、女性の腹囲と循環器疾患発症の関連性が低いとの傾向も明らかになり、腹囲を必須とする現在の特定健診のあり方も問われそうだ。今月号の米糖尿病学会誌「ダイアベティス・ケア」に発表した。

 調査は、同センターの人間ドックを08~09年に受診し、風邪などをひいていない男性1271人(平均年齢51.6歳)を対象にした。メタボ診断基準の血圧、血糖値、中性脂肪、HDL(善玉)コレステロールと、体重変化との関係を、国内でメタボの主因と位置づける腹部肥満がある群とない群でそれぞれ分析した。

 その結果、血圧と血糖値は、腹部肥満の有無に関係なく、体重が増加すれば悪化した。また、HDLコレステロールは、腹部肥満がない群だけが体重増加によって悪化し、いずれも腹部肥満との関係は見いだせなかった。一方、中性脂肪は、腹部肥満がある群で体重増加との関係があった。

 世界では、メタボ診断基準作りの中心になってきた国際糖尿病連合などが昨年、腹囲を必須とせず、他の血液検査値などと同列に扱う統一基準を発表した。一方、日本の診断基準は、腹囲が必須条件になっている。

 分析にあたった小田栄司・同センターたちかわ総合健診センター長は「腹部肥満がなくても、体重が増えれば検査値が悪化することが分かった。腹部肥満を必須条件に生活指導を実施する現在の特定健診は合理的とは言えず、早急に見直すべきだ」と話す。<毎日新聞>



コメント;


  たった1つの指標のみで、(将来の)リスクを判断する・・・これがいかに、リスキーな行動か、ご理解いただけるかと思う。まだ、1つの指標で「がん」や「生活習慣病」の将来リスクを100%予測できるものはない。

有用な指標を 複数組み合わせても、完璧どころか、ハズレることがある。


さて、 「腹囲」は、メタボの1つの「代理指標」として、日本では珍重されてきた。

その指標は「非常にわかりやすく」、しかも「(話題の)ネタにもしやすい」。

 今回の論文では、「代理指標」としても、あんまり有用ではないと示された格好だ。

 ただし、1つの論文だけでこの結果が「確定」とはいかないのも医学の世界だけどね・・・。

同じ数以上の規模で同様なデザインの試験を複数、総合解析して、ようやく、「まあ信用できる」エビデンスとなる。


 いずれにせよ、少なくとも、日本人に対しては、腹囲を少々気にするよりは、デブか否か、BMIを気にした方がいいと思います。