iPS医療、審査迅速に…開発初期から国が相談 | 医学ニュースの深層

iPS医療、審査迅速に…開発初期から国が相談

 厚生労働省は来年度から、iPS細胞(新型万能細胞)など日本発の最先端医療技術をいち早く実用化するため、開発初期から企業や研究者と審査側が相談できる新事業を始める方針を固めた。

 製造販売承認を得るにはどんなデータが必要なのかを審査側と事前にすりあわせておくことで、審査を迅速化できると判断した。

 医薬品や医療機器の製造販売承認を得るには、動物実験に加え、人間を対象にした臨床試験を行い、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査を受ける 必要がある。しかし、iPS細胞などの最先端技術は同機構がどのような観点で有効性や安全性を審査するか分からず、開発が遅れることが多かった。

臨床試験の直前に同機構と相談できる制度はすでにあるが、相談料が数百万円かかり、中小企業や大学研究者には敷居が高かった。新事業では同機構から の情報提供とともに、相談料も安価に設定する方針だ。
(読売新聞)

コメント;

 このNews・・・一見、朗報のようにみえるのだろうか?
私には、あまり、そうは見えない。

 今までもこれからも、医療はiPSだけでかたづくわけではない。
すなわち、iPS細胞だけで、なんでもかんでも「一発全治」なんてありえない。
前から述べているように、たとえ、iPS細胞がフルに臨床応用できたとしても薬や医療機器との「併用療法」がベストになるであろう。

 だから、これよりも、まず先に、やらねばならないのは、すでに臨床試験入り目前にもかかわらず、日本で放置されている(しかも海外ではすでに臨床試験にも入っている)新薬候補などの審査を迅速におこなうことであり、いわゆる「治験相談」のレベルを米国FDAなみに向上させることにつきる。

 さらに、上記の新聞記事中にもあるように「・・・iPS細胞などの最先端技術は同機構がどのような観点で有効性や安全性を審査するか分からず、開発が遅れることが多かった。」・・・。

 これを読んで、日本の若きiPS細胞研究者諸君は、?とも思わないのだろうか?

 だいたい、上記のような「新薬候補」の審査ですら、???な審査官らが、それよりも数段難しい(というよりは、ヒトiPS細胞は、まだ有効性/安全性の評価基準の設定はおろか、標準化もされていないのが現在の情況)、ヒトiPS細胞利用の臨床研究・臨床試験デザインの「相談」を受けるだと(笑いがとまらん)。


 ところで、なんで、こういうことを厚生労働省がMediaに流したと思う?
国政選挙の有無に関わらず、もう、この時期から霞ヶ関では「来年度予算」の概算要求の綱引きが始まるからさ。
まあ、厚生労働省は、いわゆる「アドバルーン」をあげてみたんでしょ。

厚生労働省は、上記の新聞記事のような理屈を盛り込んで、財務省に予算を要求したいんだわ。
これは、ちょっとでも、もらえたらいいなあ(笑)という感覚だ。
そして、たとえ、ちょっと予算がついても、iPSに限らず「審査全般」に使われるのさ。

久しぶりに過激な記事だったねえw