新しい「多能性幹細胞」・・・Muse | 医学ニュースの深層

新しい「多能性幹細胞」・・・Muse

 大人の皮膚や骨髄の中に、さまざまな細胞になる能力を持つ多能性幹細胞があることを、出沢真理・東北大教授らの研究チームが発見した。分離・培養も成功した。胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に続く多能性幹細胞の可能性があるとして、「Muse(ミューズ)細胞」と命名した。既知の2種類に比べ増殖率は劣るが、がん化の恐れは低く、医療への応用が期待されるという。

 成果は、19日付の米科学アカデミー紀要に発表した。

研究チームは、ヒトの骨髄や皮膚に含まれる細胞中にごくまれに現れるES細胞に似た細胞に着目。濃縮・培養すると、神経や筋肉、肝臓などの細胞に分化した。

 また、無限に増えるES細胞やiPS細胞と違い、2週間ほどで増殖が止まった。さらに、マウスの損傷した皮膚や筋肉、肝臓に投与すると、それぞれの組織の細胞になった。精巣に移植すると、ES細胞では8週間後に腫瘍(しゅよう)ができたが、Muse細胞は半年たっても腫瘍化しなかった。
(毎日新聞)


 新・多能性幹細胞:東北大チームが発見 安藤潔・東海大再生医学センター長の話
02年に米ミネソタ大チームが多能性幹細胞をマウスの成体で発見したが、iPS細胞に比べて複雑な方法でどの研究室でも再現できる技術ではなかった。この成果は、比較的簡便な点が新しい。再現可能な技術ならば、再生医療への応用も可能になるだろう。
(毎日新聞)



コメント:


 この細胞は、Multipotentな細胞であり、ヒトES細胞やヒトiPS細胞ほどの「Pluripotent」(多能性)を持つわけではなさそうだ。ましてや「全能性」を持つわけでもない・・・。ただ、これくらいの分化能力を持ち、かつ安全ならば、臨床的にはそれで十分。ヒトES細胞やヒトiPS細胞ほどの増殖率は無く、ウイルス入りでもないから、癌化のリスクも少ないだろう・・・。


 あとは、上記の記事コメントでも言われているように「(研究の)再現性」の問題だ。


 さて、たとえば、この皮膚の中にあるMuse細胞と皮膚繊維芽細胞由来のiPS細胞が混じってたらどうなるのだろう?もちろん今までは、混在している可能性すら、わからなかったが・・・。


 実験レベルで、わざと過剰にミックスしちゃおうか?

iPS細胞が、癌化したりしてね(笑)。