試験管の向こうに難病患者さんの笑顔を見よう;iPS細胞研究に難病少年が協力 | 医学ニュースの深層

試験管の向こうに難病患者さんの笑顔を見よう;iPS細胞研究に難病少年が協力

 筋肉の細胞が骨に変わる難病患者で、明石市に住む少年が、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究に取り組む京都大学に体細胞を25日にも提供する。少年の体細胞から作ったiPS細胞を筋肉細胞にすることにより、病気のメカニズムの解明や治療法の開発を目指す。ヒトiPS細胞は、病気やけがで失われた臓器や組織を機能させる再生医療への活用の可能性で注目されているが、難病治療への貢献にも期待が高まっている。

 小学6年生の山本育海君(12)。2006年、外傷や疲労などによって激痛とともに骨化が進む「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と診断された。その後、国が難病に指定。200万人に1人の発症とされる。今のところ治療法はなく、山本君は首や背中などの骨化が年々進んでいる。

 京大では、山中伸弥教授が07年、ヒトの体細胞に特殊なウイルスを使って四つの遺伝子を組み込み培養する方法で、ヒトiPS細胞の作製技術を発表。患者の患部と同じ細胞を作ることで病気のメカニズムを解明し、治療薬の開発につなげる研究も進めている。

 iPS細胞の技術が難病研究にも役立つと知った山本君は昨年11月、山中教授らと面会。その後「一日も早く薬を開発してほしい」と、体細胞の提供を申し出た。これまでの研究で原因遺伝子が特定されるなど治療法開発に向けた条件が整っているとして、京大は提供を受け、研究することにしたという。

提供された体細胞は、iPS細胞から筋肉細胞に分化させる。その上で、原因遺伝子が筋肉を骨にするシグナルを分析し、骨化を止めるのに有効な物質を探る。

 京大物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センターの副センター長で、山本君を担当する戸口田淳也教授は「iPS細胞の技術で難病の治療法を解明するのはわれわれの使命。育海君の思いに応えられるよう研究を進めたい」と話している。(神戸新聞)


 コメント:


 23日の昼あたりから、あまり声が出ない・・・風邪のため。

私が、こういう情況になっても、ひっきり無しにくる電話、メール・・・。


 この上記の記事ネタについても、「コメント」を求められ、「試験管の向こうに難病患者さんの笑顔を見るために」コツコツと研究を積み重ねなければならない・・・と言ったら、妙に爆笑された。

 「なんで、笑われたんだろう?」と思ってたら、「コツコツと」が「骨の研究」にマッチしたらしい・・・。


 まあ、こうした難病研究の花が開くのは、さすがに長期間かかるだろう。

しかし、医学研究のみならず、他の研究分野にも大なり小なり当てはまるだろうが、上記の疾患研究の成果が出る過程で、思わぬ「成果」(研究対象とは異なる医学の他分野で予想外に役に立つ成果)が出ることがある。

 自分でも、そういうのを、いくつか経験している。


 たぶん、「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」そのものを解決するための研究を進めていく間で、結構、いろいろな「掘り出し物」が見つかるだろう。