「試験管の向こうに患者さんの笑顔が見える」研究をしましょうよ! | 医学ニュースの深層

「試験管の向こうに患者さんの笑顔が見える」研究をしましょうよ!

 政府の総合科学技術会議は28日、政権交代の余波を受けて手続きが滞っていた「革新的技術推進費(革新費)」の配分先を決めた。

 当初予定した新型万能細胞(iPS細胞)関連の研究など2課題は研究体制が不十分などとして採択せず、太陽光発電の効率化など3課題を採択した。

 革新費は、国際競争が激しい研究分野を緊急支援するために今年度当初予算に60億円を計上。しかし、別の大型研究費が発足し、重複を避けるために採択を先送りしていた。研究期間が短縮されたことなどから、配分額は計14億円にとどまり46億円は国庫に返す。(読売新聞)



また、別の報道では・・・



自民時代の事業費、1年限りで廃止 46億円国庫返納へ 


 世界をリードする先端技術の研究を加速させる目的で今年度内閣府に創設された
「革新的技術推進費」が1年限りで廃止され、余った少なくとも約46億円は国庫に
返納される見通しとなった。

 この事業は前政権時代に創設され、今年度60億円の予算が計上されていた。

昨年6月にiPS細胞や太陽光発電、超伝導材料など5分野で公募が始まったが、
やはり前政権時代の補正予算で2700億円(当時)の「最先端研究開発支援プログラム」
が立ち上がり、テーマの重複を避けたり、政権交代で補正予算を見直したりした影響で
選考が遅れていた。

 27日に開かれた総合科学技術会議の会合で3件の採択が決まったが、総額は13億円
余り。残った予算は国庫に編入され、事業そのものも1年で終わる見通しとなった。

 一方、「最先端プログラム」では30人の中心研究者が9月に選ばれたが、政権交代以降、
総額が1千億円に減額され、課題ごとに金額の見直しが進んでいる。

 内閣府の津村啓介政務官は「(選考の遅れなどで)現場を混乱させたが、できるだけの
ことをしようとした結果だ」と話した。 (朝日新聞)



コメント:


 いつもならば、また、「売国政権」・・・いい加減にしろと書くところだ(笑)。

まあ、幾人かの研究者も、怒っているようだが・・・。


 だが、今回、私は敢えて、そうは書かない(笑)。かといって、日本の現政権の政策については、なにも科学技術政策にとどまらず、全くどころか、ほぼ全否定していますので誤解なきように。(過去記事・・・「殺人政策」などを参照)。


 私が注目していたのは、絞り込まれた「5課題」のうちのiPS細胞関連研究費の2課題の行方だった。軒並み、予想どおり排除されている。


 今回、排除されたのはiPS細胞を用いた医薬品の毒性評価などだが、他の「公募」ですでに申請・採択されている研究計画内容と重複どころかほとんど一緒なんだから、こういう研究者・企業関連者に対しても、私は「いい加減にしろ」と言いたい。

 これでは、いくらなんでも、バブルに便乗しすぎな感があると「総合科学技術会議」も判断したのだろう。なお、会議のメンバーは、学会の重鎮・大御所です。


 まあ、それでも、高額研究費を他でも貰ったぶん、しっかりした業績(特許、国際学会発表、論文の3種の神器)を出しているなら、まだしも・・・。とても、まじめにやっているとは言いがたいと「会議のメンバー」も思っているのだろう。


 だいたい、こういう「だぶついた」お金の大半は、「研究費」というよりも、「人件費」・「消耗品」(全く使いもしない高額機器の「大人買い」)・「旅費」に消えていくわけです。国民の皆さんは、血税が、研究費に使われるものと信じているでしょうが・・・。


 だいたい、医薬品の毒性評価にiPS細胞を使うのは、もちろん良いのだが、そもそも、そういう評価をするに足る国産の新薬候補は、どれくらいあるのですか?と問いたい。

 ただでさえ、(特に国産の)新薬候補のネタは、さほど多くは無いのが、悲しいながら、現実です。まして、iPS細胞を使おうがどうしようが、結局は、従来の評価方法を用いて評価する(できる)ものばかり・・・。


 従来の評価方法では極めて難しいがiPS細胞技術を使ってこそ花開く「新薬候補」があり、その効果と副作用をiPS細胞テクノロジーで見極めるという内容を示せばいいのにね・・・私はやりましたがね(笑)。

 ちなみに言っておきますが、iPS関連研究については成果が出るまでの「研究費」は自腹でした。貯金を切り崩してやりました。その辺が他の、「のほほん」としている「研究者」とは違います(笑)。


 まあ、来月あたりに、私は、大きな成果を公表できると思います。

なお、特許などの戦略上、敢えて、論文での公表は後にせざるを得ませんがね。

一流誌での論文審査の途上で、ライバルに内容・アイデアをパクラレることを、昨年、嫌というほど経験したこともあり・・・(今まで、そんなことは無かったから、悲しい思いをしています・・・悲しい思いをさせた人の名前は、今は公表しませんけどね。)

 

 さて、そういう話は置いといて・・・。


 現政権は、今回、国庫に帰ったお金(46億円)は、是非、「子供(子育て)手当て」にまわさないでもらいたい。(・・・と言っても、参議院選挙(あるいは、衆参ダブル選挙)のために、まわすのでしょうが)。


 どうせ、子供手当ては、最悪、親の遊興費か、親が子供と一緒に外食したりするお金に消えるでしょう。まさに「子供の情操教育」という費目で(笑)。


 若手研究者の「店開き」準備資金に投資してもらいたい。(店開きというのは、独立した研究室運営をするということです。)

 彼らが、思う存分、4年くらいで勝負をかけるにたる研究に邁進できるように、厳正かつ公正な審査のもとで投資先を選別し、チャレンジさせることが、この国の社会環境改善(雇用改善、社会不安の低減など)に繋がるでしょう。


 研究者のほうも、血税を使う「投資」なんだから、「科学の成果なんて、いつ出るかわからない」と、いつもの逃げ口上は、敢えて「封印」して覚悟を決めて勝負にでたほうがいい。


 本来、世間の個人事業主は、自力で必死になって、店をもつために、がんばっているんだから・・・。


 さしずめ、研究者の「商品」は、それぞれの「頭脳」かな。


 医学・生命科学者(基礎系)ならば、「試験管の向こうに患者さんの笑顔が見える」研究をしましょうよ!