iPS細胞:京大の基金が危機 目標年間5億円、現在1400万円。一方、アメリカは? | 医学ニュースの深層

iPS細胞:京大の基金が危機 目標年間5億円、現在1400万円。一方、アメリカは?

 京都大が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究振興のため4月に設けた「iPS細胞研究基金」への寄付金が、年間目標の5億円を大きく下回る約1400万円に低迷している。政府の事業仕分けで科学技術関連予算縮減の危機感が高まっていることもあり、京大iPS細胞研究センター(センター長・山中伸弥教授、電話075・751・4842)は「個人や法人の支援が必要」と呼び掛けている。

 基金は、iPS細胞研究の成果を早く社会に役立てるためセンターの研究環境を整備するのが狙い。10年後の19年3月まで個人や企業などを対象に寄付金を募る。

 iPS細胞は再生医療への応用に向けた研究が世界的に注目されるだけに、京大が設定した目標金額は「各年度5億円」と破格。1000万円を寄付した企業や定額給付金を寄せた篤志家もいるが、これまでに集まったのは法人4件、個人39件の計約1400万円にとどまっている。

 センターのウェブサイト(www.cira.kyoto‐u.ac.jp/)やシンポジウムでのビラ配布で協力を呼びかけてきたが、効果は今一つだ。

 iPS細胞研究を巡っては、山中教授らが07年11月に世界初のヒトiPS細胞の作成成功を発表した直後、文部科学省が5年間で総額100億円を投入する総合戦略をまとめた。今回の事業仕分けで、iPS細胞研究を名指ししての予算縮減の話は出ていないが、科学技術関連事業は軒並み厳しい評価を受けており、山中教授をはじめとする著名な研究者からは憂慮の声が上がっている。(毎日新聞)



コメント:


 意外なくらい、民間からの寄付が低いな。

日本製薬協会加盟の80数社が100万円ずつくらいだして、あとは篤志家で1億円くらいは、集まったんだろうと思っていたが・・・。


 不況の影響もあろうが、このくらいの注目度ということもいえる。

皆さん「期待はしている」だけなのね(笑)。

 アメリカのハーバード大学には、GSK(世界のトップクラスの製薬企業)が確か、53億円を寄付したな(笑)。


 一方、日本では上記の事情に加えて、「国民の税金から、国民の私達では想像もできないような多額の資金が出ているようだし、これって、案外、国も出しているのでは?」とか・・・


 あるいは、ちょっと知ってる人は「アメリカとかに比べて10分の1とかいわれてるけど、それでも、他の研究分野よりも特別扱いだよ」とか・・・思われているようだ。


 さて、定額給付金(懐かしいでしょ)が、なんと190億円もあまり(給付を辞退した人たちなどの「お陰」)、国庫に返納されたようだ。


 じゃあ、このうち、5億円を10年で50億円・・・ってな、わけにはいかないか?

京大CiRAにといいたいところだが、どうして、京大CiRAに、そこまで集中しなきゃならないのということについては、京大CiRAは、周到に説明できるようにしておいたほうがいい。ごく近いうちに「国民に大好評を博し、科学者らを失意のどん底に落とした」あの「仕分け」第2ラウンドが始まるようだし・・・。(もはや「お祭り」だな「仕分け」)

 その説明の中で、他分野の研究者との共同研究の加速・展開(公正明大な公募システムの見本を創る)とか、研究人材の養成・再教育システムを創るとかを今まで以上に強力に提言したほうがいい。


 もう「寄付金」の広報は、これ以上何をやっても、効果が薄いから止めて、ここで書いたような「(説明の)準備」をしておいたほうがいいよ、山中先生。