殺人政策シリーズ 3:漢方薬の保険適用継続問題 | 医学ニュースの深層

殺人政策シリーズ 3:漢方薬の保険適用継続問題

 政府の行政刷新会議の事業仕分けで「公的医療保険の適用対象外にする」と評価された漢方薬など市販品類似薬について、漢方薬の使用患者や医師らが1日、厚生労働省を訪れ、保険適用の継続を求める要望書と約27万人分の署名を提出した。

 長妻昭厚労相は同日の記者会見で「漢方薬は医師が処方しており、いきなり保険から外すのは疑問。署名や要望を見て判断したい」と述べた。

 署名を取りまとめた日本東洋医学会の寺沢捷年会長は「漢方の使用で患者が早く回復し入院期間の短縮につながるなど、医療費節減でもメリットが高い」と訴えた。

 足の血流障害で4年間漢方薬の服用を続けている金子亨さん(76)は「保険外になったら月2千円の自己負担が10倍になってしまう」と不安を口にした。(共同)



コメント:


 この「殺人政策シリーズ」って、あんまり書きたくないけれど、これだけネタが、しかも、緊急性の高いネタが出てくるとね・・・。


 漢方薬は、西洋医学に基づく「医薬品」や「医療技術」に比べれば、エビデンス(証拠)能力の強度は、相対的には、低い。上記の会長さんは、その意味では「少々、言いすぎ」の感がある。

 しかし、ある程度の評価試験のもとで、緩やかな治療効果と安全性を示すから、承認されている。今後、更なる厳密な検証のうえで、保険適用の適否をあらためて考えるというなら、まともな漢方と似非漢方を明確に区別する点で反対はしない。が、それすら、しないで、漢方薬のみをすぐに標的にするのは大いに問題である。

 厚労相が言うべきことは、上記のようなことではなく、「人命に関わることなので、今後、お金・時間をかけて、厳格な検証をしたうえで、適時、判断することとしたい。」ということだ。


 緊急性から、言えば、前に書いたように、海外承認・日本未承認の「抗がん剤」承認のための予算を600億円、切ったことだろう。


 ここまで露骨に、根拠なく、人命を切ることを宣言するとは・・・。


 今回の一連の仕分けの最大の問題は、「切るための」根拠あるいは「増額するための」根拠が、仕分けする側、される側、双方とも、脆弱であることだ。

 まあ、前者の方が、問題になる点が多いけど。。。