「薬の飲み方も特許認定、政府が審査基準を改定へ」とiPS細胞研究
まずは、読売新聞の昨日の報道から・・・
政府が6月中旬にまとめる「知的財産推進計画2009」に、
薬の服用法を新たに特許として認める方針が盛り込まれることが、わかった。
同じ薬でも飲み方や飲む量を工夫することで副作用が少なくなる事例があり、
こうした分野の研究開発を促す狙いがある。
政府は推進計画に基づき特許の審査基準の改定作業に入り、早期実現を目指す方針だ。
現在の特許制度では、薬自体や薬の用途などに関する特許は認められているが、
服用法にまで特許を認める考え方は日本では採用されていない。
しかし、毎日服用するように開発した骨粗しょう症の治療薬を
1錠あたりの量を増やして服用回数を週1回に減らしたところ、
副作用が小さくなる事例が見られるなど、服用方法の研究が進めば
患者の負担軽減につながる医薬品は多いと見られている。
製薬業界からは服用方法の研究開発には、
新薬の開発同様多大な費用と時間がかかるとして、
この分野での特許を認めるよう要望が出ていた。
知的財産戦略本部の「先端医療特許検討委員会」で検討した結果、
特許を認めるべきだとの結論に達し、同推進計画に盛り込むこととした。
今後、服用法の特許が認められることにより、
新薬としての特許が切れて同じ成分の後発医薬品(ジェネリック医薬品)
が販売されている薬についても、新たな用法・用量を発見すれば、
特許を申請して取得することができる。
この場合、旧用法・用量で販売していた製薬会社が新たな用法・用量で販売しようとすれば、
特許を取得した会社に特許料を支払うことになり、薬が割高となる可能性もある。
コメント:
上記の記事で書かれていることは、
米国では採用されている、いわゆる「医療方法特許」です。
ちなみに欧州では、あまり採用されていません。
この種の特許は、医療費の高騰を確実に招きます。
反面、患者さんにとって上記のような医学上のメリットもあります。
そして、特に「開発型の医薬品企業」にとっては、大きなメリットがあります。
ジェネリック医薬品メーカーにとっては痛手でしょうが。
私が注目しているのは「疾患特異的iPS細胞」を利用した
医薬品の最適使用法の研究・臨床応用が、
この「制度」の成立によって加速されるということです。
ただし、患者さんにとって「費用効果」が良いものになるか
否かが課題ですが・・・。
なお、上記の研究成果を米国に先に押さえられると
非常に難儀なわけです。昨日の記事にも書いたように・・・。