就活、プレゼンテーション | 医学ニュースの深層

就活、プレゼンテーション

少し前になるが・・・昨年末の朝日新聞に以下のような記事が掲載されていた。


 「麻生首相は19日、東京・渋谷の「ハローワーク渋谷」を視察し、

求職に訪れた24歳の男性に「何がやりたいか目的意識をはっきり出すようにしないと、

就職というのは難しい」と声をかけた。


 男性は派遣社員として働いていた自動車工場の契約が打ち切られ、

職探しに東京に来たという。


 首相は就職活動の心構えを伝えたかったようだが、

民主党の鳩山由紀夫幹事長はこの発言について記者会見で「誠に的はずれだ」と批判。

 「なかなか自分の思い通りの仕事が見つからない状況だからこそハローワークで探そうとしている。

『しっかりやれよ』と言葉をかければ、彼らもやる気が出る」とたしなめた。」



 私は、首相を弁護する義理はありません(^∇^)し、ファンでもありません。

しかし、上記の記事では、首相は「目的意識をはっきり出せ」と言っているのであり、

持て」とは言っていません。


 「目的意識をはっきり出せ」というのは、表や面接でのプレセンテーションスキルの問題です。

しかし「目的意識をはっきり持て」は、人としてのあり方の問題でしょう。


 だいたい、就職する前に、働くことに関して「はっきりした目的意識を持っている」人は

幸福な少数派です。たいていの人にとって「はっきりした目的意識」とは、

実際に仕事をしているうちに生まれてくるものだと思います。


 しかし、例えば、就職面接などの場で、面接官は「はっきりした目的意識」を要求します。
おそらくこれは、人の潜在能力を予測できる単純で特異的なパラメーターなど存在しないため、

「はっきりした目的意識」をプレゼンテーションできるスキルのようなパラメーターを代用しているに

過ぎないという側面があると思います。

 ここにはダブルスタンダードが自ずと存在するのです。

だから、「何がやりたいかというはっきりした目的意識」が十分に形成されていなくても、

「人としてのあり方に」深刻に悩んだりする必要はないわけで、

そんなものは働いて経験を重ねれば生まれてくるものだと思います。


 しかし、働くための前段階としての面接では「何がやりたいかというはっきりした目的意識」を

プレゼンテーションするスキルで評価されてしまうので、

「(とりあえず準備した)何がやりたいかというはっきりした目的意識」を

プレゼンテーションするスキルを磨く必要があります。


 というわけで、首相の「目的意識をはっきり出せ」というアドバイスは、

競争率の激しい面接を切り抜けるためには適切なアドバイスであり、

「持て」ではなく「出せ」と言ったところは、「しっかりやれよ」とだけ言った、

民主の鳩山幹事長よりも、非常に珍しく「的を射ている」と言えます。