年の瀬に・・・ | 医学ニュースの深層

年の瀬に・・・

 年の瀬ですね。


 さて、「iPS細胞実用化への1歩」という記事が、朝日新聞の12月26日朝刊に掲載されていた。山中先生へのインタビュー欄で特に目をひいたのは以下の記述です。

 「(体細胞の1%しかiPS細胞には、ならないが)、なぜ、大部分の細胞が万能性をもたないのかに興味がある。だいぶわかってきたので、次の1年で発表していきたい。」


・・・先生、我々も、わかってきましたが、お互いの共通部分として、まずは、p53が、この謎を解く鍵の大きな1つですかね?(笑)


 みる人がみれば、わかるような研究ネタの「ネタばれ」を、まあ、大新聞で言ってしまうあたり、先生、正直すぎです(笑)。論文投稿と特許申請はしているのでしょうが・・・でもまだ、それぞれ受かる前ですしね・・・。戦略的には、まずいなあ。


 ヒトiPS細胞の特許問題の報道(VS バイエル)のときも、ほぼ特許申請がいつなされたかわかる発言をされたので、冷や冷やしていましたが・・・。


 まあ、山中先生らのチームは、きちんとした本物の仕事をされているからまだしも、まだ出来てもいない「ヒトiPS細胞に関する仮の成果」(これから、研究をはじめるというものも含む)を堂々と新聞で公表する日本の研究者が多いのは問題だと思っています。


 なんのためにこういうことがなされるのか?政府・企業からのお金欲しさと大学・研究機関の宣伝のためです。今年の春先あたりから、大新聞で報道されていた各研究機関の「画期的な(仮)の成果」は、その後、どうなったのか?まだ、何も学術誌には発表されていません。


 大新聞やTVでの報道は、きちんとした学術誌に論文発表される段階でのリアルタイムでの報道で十分です。中途半端な報道は、皆にとって、いいことにはつながらないでしょう。