WEC世界耐久選手権 第80回ル・マン24時間レース レポートvol.1 | レーシングドライバー井原慶子のおもいっきり行こう!

WEC世界耐久選手権 第80回ル・マン24時間レース レポートvol.1

LMP開発テストでチームメイト決定!

          


レーシングドライバー井原慶子のおもいっきり行こう!




ガルフレーシングミドルイースト所属 

井原慶子、ジャン・デニス、マルコ・ロスタン組29号車 





●予選結果 総合45位 LMP2クラス20位

予選現地時間6月14日 

午後19時21時、22時24時



●決勝結果 17周リタイア

決勝現地時間61615時スタート




世界3大レースに数えられるル・マン24時間レース。今年からWEC世界耐久選手権の1戦になり、FIA世界選手権となったル・マン24時間レースは3年前に見たものとは全く別次元のレースになっていた。



ルマン24時間レース2週間前の6月3日、本番のレースが行われるルマン・サルテサーキットで出場全チームが揃って開発テストが行われた。

世界選手権になって、開発テストの段階からクリアーしなくてはいけないハードルが高くなった。ルマン24時間レースに出場する全ドライバーは、

・この開発テスト1日の間に10周以上しなくてはならない。

・そしてトップタイムの110パーセント以内のタイムをすべてのドライバーが出さなくてはならない。

と言うレギュレーションが決まっている。これは、この1日のテストデイで何かマシントラブルがあったり、ドライバーがミスをして規定周回数をこなせないと、その時点でル・マン24時間レース参戦への扉が閉ざされることを意味する。

世界選手権ではないほとんどのレースでは、この条件を達成できなくても後に嘆願書で主催者に申し出れば出場することができる。しかし、ル・マンではそれは断じて許されない。今年から世界最高格式のレースとなったル・マン24時間レースは厳しさを増した。





6月3日(日)開発テスト

我がチームの今日のミッションは、参加選手全員が規定周回数とタイムを突破すること。そしてもう1つ、新しいドライバーをオーディションすること。


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前回のWEC第2戦ベルギーラウンドでは、3人いるチームメイトの1人がレース前に足を骨折してしまった。 ベルギー戦は6時間レースだったので、やむなく私とジャン・デニ選手で走り切ったが、このハンデを乗り越え、なんと2人で入賞することができた。WECのLMP2クラスで4位入賞し、日本人初、世界女性初で世界耐久選手権の入賞ポイントをいただいた。

 しかし、今回のルマン24時間レースでは、さすがに2人のドライバーで完走することはできない。骨折したフレデリック選手に変わり、新規加入するレーサーのオーディションを行った。ヨーロッパのGT選手権で優勝経験もあるという選手だったが、フォーミュラーやルマンプロトカーの走行経験がなく、規定タイム以内で走ることができずに不合格となった。



このドライバーオーディションに開発テストデイの午後を費やしてしまったことが、後に大きく響いた。




一時帰国の日本

開発テスト翌朝の飛行機で日本に急いで帰国した。成田に到着したのは火曜日の朝8時で、そこからアメリカ大使館へ直行した。

震災以降に日米政府主導で設立された震災復興・教育支援プログラム“TOMODACHI”のチャリティーを今年1月のドバイ24時間レース参戦時から行っている。10月に富士で行われるWEC第7戦日本ラウンドでは、震災を受けた子どもたちを中心にサーキットに招待したいと考えていた。世界の第1線で戦っているドライバーやメカニック、スタッフなどと国際語である英語を使いながらコミニュケーションの楽しさを子どもたちに知ってもらいたい!と思い、このプロジェクトの打ち合わせで大使館に向かった。


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そして午後から金曜日までは、たくさんのメディアに取材していただいた。

そんなバタバタな中、フランスから朗報が届いた!チームメイトがやっと決まったとのこと。マーク・ロスタン選手(フランス)。ルマン24時間レースには昨年まで10年連続でLMP2クラスにに出場しているルマンマスターだ。

こうしてあっという間の一時帰国が過ぎ、いよいよ6月9日土曜日ル・マンに向けて慌ただしく出発した。






























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