幼少の頃から図画工作の類が完成出来たことが無い。
習字も同じく酷い状況。
自分ではイメージを持っているが、何故か程遠いものになっていく。

最近はパソコンを使用するので自筆で字を書く機会は金融機関の書類に個人補償で住所氏名を書くだけの惨めな楽器屋。
しかもボールペン。
読めても書けなくなった漢字多数。

昨日、89歳の誕生日を迎えた認知症の母は筆まめでイラストのように絵も描く人「アンタは絵も下手やけど字も下手やね」とよく言っていた。
親孝行な息子は「アンタが習字や絵を学ばせなかったからやろう」と心でつぶやいて聞いていた。
そうするとそれを見透かしたように「どうせ習いに行かせても続かん子やからね」と言う。
息子の性格は解っていた。

しかし憧れは高級万年筆でサラサラと名前だけでなく手紙を書くこと。
本当は悪筆ゆえ書けなかったラブレターを書きたかった!
今は書く相手も見当たらず。

そう言うと女性陣は「奥様に書かれては?」と言うに決まっている。
配偶者に書くと内容は詫び状を書かされそうな気がする。しかも書いたら赤字で添削されて戻って来る。
詫び状は万年筆よりも墨と硯と筆のほうが似合うかな?

いずれにしても憧れは、渋くて洒落たジャケットの内ポケットからイタリアでオーダーしたような万年筆を取り出し何気なく草書体の美しい文字で書いてみたい。
その万年筆で前にいる美女の似顔絵をサッと描けたり出来たら。

見果てぬ夢でした!