私が子供の頃、自然は常に隣にあった。
寒暖だけでなく四季それぞれの草花や木々の色合いはもちろんの事、それぞれの月の匂いや音も感じられ、その季節の味覚、風や季節の肌触りも感じられた。
今も瞬間懐かしい感覚にとらわれる事はある。

家の傍で蛍を見たり、玉虫が飛ぶ姿を見たり、朝網戸にカブトムシやクワガタムシ、カミキリムシなどがとまっている事はなくなり、今年はまだトンボも見ていない。
自然が何処かへ移動してしまった。

海外から来る音楽家やアーティストを京都に連れて行った時、かならず龍安寺の石庭へ連れて行く。
そこで最低2時間は彼らは座り見つめ、耳を澄ましている。
かならず言うのは「世界中の音楽家がここに来るべきだ」と。「ここには素晴らしい音と音楽がある」と言う。
以前その話しを親しい益子務先生にしたら、先生はかの巨匠オイストラーフが来日したとき通訳とアテンドで龍安寺に連れて行ったら、6時間座っていたとか。

自然倍音の持つ優しさはデジタル楽器では身につかない。
ぜひご家族で自然いっぱいの場所に月に一度は出掛けられては如何でしょう。
全ての五感に優しいですよ。