以前、NHKの衛星放送で『永遠のマリア・カラス』をやっていた。
主演のファニー・アルダンが素晴らしかった。

このフランスの名女優、多分、御存知の無い方も多いと思いますが、私は昔からのお気に入りの女優で、上手に歳をとっていっている一人だと思う。
この映画のストーリーはカラスを良く知るオペラの名演出家で素晴らしい映画監督でもあるフランコ・ゼフィレリがフィクションで晩年のマリア・カラスを描いてみたかったようです。
共演の映画プロデュサー役の名優ジェレミー・アイアンズ(多分、ゼフィレリの分身だと思う)を通し、歌手としての寿命は短かったが不世出のソプラノを描いている。

歌えなくなった彼女が『マダム・バタフライ』の「ある晴れた日に」を若き日の自分のLPを聴きながら口ずさみ演技をしている姿をドアの陰からプロデューサーが見ているシーン、素晴らしかった。
アルダンのアップでの表情、アイアンズのアップ。二人の名優の素晴らしい演技の表情。若くないアルダンだが本当に美しい表情には見とれてしまう。

この女優、『隣の女』『日曜日が待ち遠しい』と云う映画で魅了された。
どちらもフランソワーズ・トリュフォー(彼の彼女でもあった)の監督する映画で、前作は近松物のような心中で終わる切ない作品。後者はヒッチコックの研究者だったトリュフォーが作ったサスペンス。
とにかく、この女優の演技と表情の素晴らしさを皆さんにも知っていただきたいと思い紹介してみました。