【2026.4.14】
♦消費者庁は4月9日、消費者支援かながわと楽天モバイル株式会社との間で、消費者契約法に基づく差止請求に関する協議が調ったと公表した。
♦本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援かながわが、楽天モバイルの「スマホ下取りサービス」で用いられていた利用規約の一部条項について、消費者契約法に反し無効であるとして修正を求めた事案である。
♦問題とされたのは、次の2点の条項である。
① 消費者が楽天モバイルより返送された製品を受け取ることができなかった場合に、理由の如何を問わず楽天モバイルが一切の責任を負わない旨を定めた条項
② 利用規約について、楽天モバイルの裁量により自由に変更および改定することができる旨を定めた条項
♦前者について消費者支援かながわは、下取りに関する契約が不成立又は解除となった場合に消費者から預かった端末を返却する債務を楽天モバイルが負う以上、配送業者による事故等を含めて責任を一切免除する条項は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除するものであり、消費者契約法8条1項1号(※1)に該当し無効であるとした。
♦また後者については、楽天モバイルが民法548条の4第1項の要件を満たすか否かにかかわらず事業者が一方的に規約を変更できる内容であり、消費者の権利を制限し又は義務を加重するもので、消費者の利益を一方的に害する条項として消費者契約法10条(※1)に該当し無効であると指摘した。
♦消費者支援かながわは2025年3月6日に楽天モバイルへの申入れを開始し、その後、楽天モバイルが申入れの趣旨に沿う対応を行ったとして、同年11月19日に申入れを終了した。
♦消費者庁によると、本件に関する改善措置情報の概要は「なし」とされている。
♦なお、消費者支援かながわが公開している2025年3月6日付楽天モバイル㈱の申入書兼お問い合わせおよび2025年5月30日付楽天モバイル㈱の回答書によると変更前後の規約は下記の通り。
【上記①の規約:楽天モバイル 利用規約第5条9項】
変更前)
第5条9項 当社は、お客様による本サービスの利用申込みを当社が不承諾とした場合または本契約が本規約の定めに従い解除された場合、本件製品を当社の費用でお客様に返送します。理由の如何を問わずお客様がかかる返送された本件製品を受け取ることができなかった場合(配送時の事故、引越し等により宛先不明となった場合を含みますがこれらに限られません)、当社は、お客様に対して一切の責任を負わないものとします。
返送された本件製品をお客様が配送事業者の保管期限内に受け取ることができず、当社にかかる製品が返送された場合、当社は、本件製品が当社に無償譲渡されたものとみなします。
変更後)変更箇所は下線
第5条9項 当社は、お客様による本サービスの利用申込みを当社が不承諾とした場合または本契約が本規約の定めに従い解除された場合、本件製品を当社の費用でお客様に返送します。お客様がかかる返送された本件製品を受け取ることができなかった場合(配送時の事故、引越し等により宛先不明となった場合を含みますがこれらに限りません)において、当社の責めに帰すべき事由による場合を除き、お客様に対して一切の責任を負わないものとします。返送された本件製品をお客様が配送事業者の保管期間内に受け取ることができず、当社にかかる本件製品が返送された場合において、お客様からご提供いただいた連絡先を通じて連絡が取れないなど、お客様が本件製品の所有権を放棄したものと客観的に認められるときは、当社が定める手続により本件製品を廃棄その他処分することができるものとします。
【上記②の規約:楽天モバイル 利用規約第15条1項】
変更前)
第15条(本規約の変更等)
当社は、当社の裁量により自由に本規約を変更および改定することができるものとし、本規約の変更または改定後の本サービスの利用申込みには、変更または改定後の本規定が適用されます。
変更後)変更箇所は下線
第15条(本規約の変更等)
当社は、お客様に対し適切に通知または周知したうえで、本規約の内容の一部または全部を変更できるものとし、本規約の変更または改定後の本サービスの利用申込みには、変更または改定後の本規定が適用されます。
(※1)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当 該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
二~四 [略]
2・3 [略]
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法 第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
注)上記の差止請求が行われた日現在の規定
*リソース:消費者庁 消費者支援かながわと楽天モバイル株式会社との間の差止請求に関する協議が調ったことについて 4/9